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Movie Review 1999・10月22日(FRI.)

ユニバーサル・ソルジャー
 ザ・リターン

 のちに『インデペンデンス・デイ』、『ゴジラ』を撮ることになるローランド・エメリッヒが監督した『ユニバーサル・ソルジャー』は、武闘派アクション俳優ジャン・クロード・ヴァン・ダムとドルフ・ラングレンの夢の共演、血が騒ぐものがあった。アクションシーンもほどよくコケおどしが効いていて人に勧めはせんけれどもそこそこイケていたと記憶する(『リターンズ』を見た後なので記憶が歪められて過大な評価を与えている気もするが)。確か、ユニヴァーサル・ソルジャーってのはベトナム戦争で死んぢゃった兵隊をアレコレいじって痛みを感じない戦闘マシーンに造り替え、普通の人間にやらせるのは気が引ける危険な任務をやらせる、という設定だった。湾岸戦争以降、なるべく兵隊を死なせないというのがアメリカの方針だそうで、そういうところも反映しているのかな? とか思ったり。

 ヴァン・ダムは前作で徐々に人間としての感情を取り戻していくという役だったが、今回は「ザ・リターン」と言いながら、ヴァン・ダムは元ユニ・ソル(『ユニバーサル・ソルジャー』を略すとこう言います)、というだけのただのオッサン。おまけに子どもと仲良くしたり、事件に巻き込まれた美人レポーターをムリヤリ引き回して結局よろしくやったり、おまけに「インターネットに接続できるパソコンが必要だ! あそこならあるはず!」とか言って、ストリップティーズを見に行ったりと、何もそこまで人間くさくならなくても…と誰しも思うところ。別にユニヴァーサル・ソルジャーの続編でなくてもいいんぢゃないか? というような役柄であり、ストーリーだ。

 今回、ドルフに代わる敵役は、S. E. T. H. という HAL 9000 をおっきくしたような人工知能。これが暴走を始め、ヴァージョンアップした新ユニ・ソルを操る。でも、ある時間が過ぎたらば、パスワードなしでは活動を停止するようにプログラムされており、そのパスワードを握っているのがヴァン・ダム。人工知能はあの手この手でパスワードを手に入れようと苦労する。

 つまり、「ある時間までにどうこうしなければならない」というサスペンスは、敵役の人口知能の方に生まれているのだ。なんか間違ってます。結局、人工知能は自力でパスワードを割り出し、今までヴァン・ダムを追っかけてた努力は何だったの? そんなところに CPU パワーを使わず最初からパスワード割り出しに全力をあげていた方が良いんぢゃないの? という展開で、ヴァン・ダムがボンクラなのは仕方ないとして、人工知能のくせにボンクラでどうする?

 オマケにアクションはヴァン・ダムより人口知能に乗っ取られた黒人ユニ・ソルの方が断然カッコ良かったりするし、とにかく編集がめまぐるしくアクションのカッコ良さが全然出ていないというイイトコナシの映画。ヴァン・ダムといえば後ろ回し蹴りなんだが、今回は回してません。ヴァン・ダムファンとしても許しがたいのである。

「そんな文句言うなら、見に行くな!」という声が聞こえてきそうですな。その通りです。でもヴァン・ダムはいつかやってくれるとオレは信じてるぜ!

BABA Original: 1999-Jan-22;

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