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Movie Review 1999・11月19日(FRI.)

サラリーマン金太郎

 オイッス。金ちゃん最高っス。本宮ひろ志の漫画のテレヴィドラマ化の、さらにその映画版っス。テレヴィ番組の映画化(?)っちゅうと、昔は映画だけで完結したものが多く便利だったんだけど、『踊る大走査線』など最近はテレヴィの続きだったりするからテレヴィを見ない私は困ってしまうっス…という心配はこの映画の場合は不要で、退屈な人物紹介の描写をスッとばして物語を展開しているのが爽快っス。

 オマケにありがちな人物関係なので、簡単に想像できるっス。例えば榎本加奈子演じるところの、どうも劇中では人気アイドルらしい激ヤセの女子が金ちゃんを誘惑してふられてショボンとしたり、という唐突なエピソードに遭遇しても全然オッケーっス。…ってしつこいっスね。やめまっス。

 監督は三池崇史。『アンドロメディア』という SPEED 主演のトンデモアイドル映画など近年評価をグングン上げているのか、今日の日本映画界にあって最もコンスタントに新作を発表し続けており、山崎努周辺のスジ者描写が素晴らしい。新作『Dead Or Alive』も無闇にスゴイらしいぞ! ともかくこういう素敵な題材でも、力を入れているのか抜いているのかよくわからないけど(手は抜いてない)、スゴイ(かも?)

 さて、お話は…。金ちゃんは通勤中に「サラリーマンをなめんぢゃねえ!」とチーマーに暴行を加える危険なサラリーマンだ。普通ならばとっくに馘首なんだが、太っ腹な津川雅彦会長の温情でなんとか首がつながっている、と想像できるゼネコン社員。

 なんだかんだで東北へ転勤、といっても東北新幹線で東京から通勤だ。恐るべしゼネコン。東北支社の上司が山崎努で、昼間っから雀荘に通っている。さすがゼネコン。そこで金ちゃんはライヴァルゼネコンと血で血を洗う受注合戦を繰り広げる。

 市役所の入札を巡る腐敗ぶりが描かれていて興味深い。入札とは名ばかりで、実は業者の会合で「次はホニャララ建設さんの番ね、あんたんとこは○○億○千万円で入札してちょ」という談合はあたり前。また、入札担当の役人と癒着しておいて金額を書かずに白紙で入札、読み上げ時に最低の価格を読み上げてもらうので受注絶対確実の白紙入札のカラクリなどが描かれる。すげぇぜゼネコン。映画に堂々と描かれるくらいなので、現実にはもっとエゲつない事態が進行していることは容易に想像できますな。

 こういう許しがたい役人とゼネコンの癒着ぶりに怒った金ちゃんは…、ぢゃなくて、単にぎゃあぎゃあ騒いで事を荒立てても受注できなくてブチ切れた金ちゃんは、電話一本で 2000 台の暴ヤンを集結させ東北地方で暴走行為に及び恫喝をかける。イカすぜ金ちゃん! この唐突さはグレイト。ワキの方でときどき顔がアップになってたけど、この人誰? っちゅう人物が一件をスカーッと落着させるのも最高。うひゃー!

 ラストは暴走行為を裁く裁判で執行猶予を言い渡された金ちゃんを、「強引 My Way !…(中略)…なくしちゃいけない 宝物」(※)という腰が砕けそうになる TUBE の歌が流れる中、適当にかり集められた大群衆が拍手で迎える。頭がグネグネになったっス! オレはどこまでも金ちゃんについて行くっス! とりあえず原作を読んでみよう、と決意す。三池崇史ファンにはオススメだ!

(※『サラリーマン金太郎』主題歌『IN MY DREAM 』より引用。 唄: TUBE  作詞:前田亘輝 作曲:春畑道哉)

BABA
Original: 1999-Nov-19;

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