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Movie Review 1999・11月18日(THU.)

トーマス・クラウン・
 アフェアー

『華麗なる賭け』のリメイクということだが、何十年も前にゴールデン洋画劇場かなんかで見たきりであり、そういやアメリカ映画のくせにヨーロッパ映画っぽいのがあったなあ、音楽は『火の鳥』(市川崑監督)とか『ベルサイユのばら』のミッシェル・ルグランだったなあ、タイトルバックがイカしてたなあ、というくらいしか憶えていない。

 最近前作を見たとか思い入れがあるという人を除いては、新旧を比較してどうこう言うのは意味がないと思うのでやめといて。

『ダンテズ・ピーク』のピアーズ・ブロスナンが、自身も共同製作に携わったオレ様映画。大金持ちが退屈しのぎに某有名絵画を盗む。おいおい。悪ふざけが過ぎないか? 日本だったら美術館員の首が 100 や 200 は飛ぶってもんだ。そんなことはお構いなく美人とよろしくやったり、ヨットやグライダーに乗ったり、南の島の別荘でのんびりしたりと金持ち気分を満喫してやがる。盗難物を取り戻して報酬を稼ぐことを生業とする美人かつ金持ちのレネ・ルッソがやってきて、ブロスナンとイチャイチャしてどうこうという話。

 要は、事件の捜査担当の刑事が言うように「ヒマな金持ちどもが道楽で見る絵を、金持ちの奇術師野郎が盗んでも、オレにはどうでもいい」ってことだ。ともかく素敵にアホらしい映画に仕上がっている。

 確か前作は銀行強盗、今回は絵画強奪で、今回の方がより「金持ちの道楽」感を増しているだろう(あ、比べちゃいました)。印象派の超メジャー作品を盗むのは成金趣味全開。クライマックスのマグリットをモチーフにしたトリックも、お遊びが過ぎてこいつホンマにヒマな奴っちゃなあ、って感じだ。

 と、どうでもいい話でありつつ実はとってもおもしろいのは、監督は『プレデター』、『ダイ・ハード』シリーズの一本目と三本目を撮ったジョン・マクティアナンであり、無闇にダイナミックなカメラワーク、P ・ブロスナンと R ・ルッソの「やっぱり金持ちは頭がいいんだなあ」と思わせる頭脳戦(ホントに頭のいい頭脳戦は久しぶり?)など見どころ多数。R ・ルッソは『ゲット・ショーティ』で「悲鳴の女王」を演じた女優であり、今回もボンクラ感漂うブロスナン相手に乳丸出しで頑張ってて抜群に良いぞ。45 歳だって!

 つまりは本来無骨でソリッドなアクション派監督とボンクラ映画を得意とする俳優が、コ洒落た映画を撮るのはムリってなもんだがそういうものを期待しなければ全然オッケー、という映画。絵画強奪のトリックなど『ルパン三世』っぽくておもしろいので、金持ちに腹を立てない人にはオススメだ。

BABA Original: 1999-Nov-18;

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