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Movie Review 1999・11月16日(TUE.)

サイモン・バーチ

『ガープの世界』、『ホテル・ニューハンプシャー』などで一時期ブームとなったジョン・アーヴィングの『オウエンへ祈りを』が原作(翻訳本は、なんか無闇に高額らしい)ということで、小人が出てきたり、主人公の母親の死因が『グレムリン』におけるフィービ・ケイツの父親の死因に匹敵するくらい笑えるものだったりと、アーヴィングらしいところはあるが全体にホノボノ & シミジミの、親子連れで見に行っても全然オッケー、文部省推薦でもいいくらいの映画に仕上がっている。サイモン・バーチのオッパイ好きとか原作だったら、もっと執拗に描かれていると思うんだけど。ともかくいずれ原作も読まねばなるまいと決意。

 ジム・キャリーの回想で物語は進行する。子供時代を演じるのは傑作『マイ・フレンド・フォーエヴァー』のジョセフ・マッゼロ。佐田啓二似の男前にすくすく育っているので美形好きの方は要チェックやで。J ・マッゼロは男前なれど私生児なもんで田舎町のコミュニティから疎外されており、友だちは同じくアウトサイダーの小人、サイモン・バーチだけだ。サイモンは「神様はこんな自分にも何か意味があってお造りになられたに違いない」と鋭敏な頭脳を曇らせつつ愉快に生きているヤツだ。とにかくこのサイモンがメチャクチャ良い。毒気は抜かれているとは言え、紛れもなく J ・アーヴィングのテイストが漂うのはサイモンのキャラクター、それを演じるイアン・マイケル・スミスの魅力による。

 J ・マッゼロの父親探しや、サイモンの生まれてきた意味を求める話が J ・アーヴィングのホームグラウンド、メイン州の風光明媚な風景を舞台にホノボノ、シミジミと展開していく。メイン州はモダン・ホラーの帝王スティーヴン・キングや画家アンドリュー・ワイエスのホームグラウンドでもあり、裏のある悲喜劇を語るにはうってつけだ。

 思いっきり唐突に大事件が起こり、感動のクライマックスを迎える。泣かせつつも、思いっきり偽善的なつくり笑いを浮かべる J ・キャリーで締めて、奇妙な後味の悪さを残すので「お涙頂戴映画」が苦手な方にもオススメです。

 映画不リーク的な話をすると J ・キャリーの、チョビっと出てくる息子を演じるのはジョン・マッゼロという名前だから、ジョセフ・マッゼロの弟なんでしょうね。そいでから『ドクター・ドリトル』、『評決のとき』なんかで最近よく見かける売れっ子脇役オリヴァー・プラットが出てます。間もなく公開の『娼婦ベロニカ』っちゅう映画にも出ているので要チェックやで。ってパンフが作られていないのでいちいちこんな事まで書かねばならぬ(書かなくても良いか)

 監督デヴューとなったマーク・スティーヴン・ジョンソンは、『ラヴリー・オールド・メン』、『ラブリー・オールドメン 釣大将 LOVELOVE 日記』(こんな映画知らんっちゅうねん)などの脚本を担当。「The Replacement」というキアヌの新作コメディの脚本もこの人らしい。まあ、そんなこんなでヌルめのコメディがお好きな方にはオススメ。

BABA Original: 1999-Nov-16;

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