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Book Review 1999・12月09日(THU.)

古本屋『シネブック』漫歩

 中山信如 ワイズ出版

 映画を見るのもおもしろいが、「映画に関する本」を読むのもおもしろいのである。気に入った映画ならば、その映画は、一体どういう人がどのように作ったか? を知りたくなる。なりませんか? ボクはなる。裏話を知ることで、映画をより深く理解できる(ような気になれる)のが、映画の本を読む効用。

 著者は東京の映画関係専門の古本屋を営むオヤジで、日本映画に関わる書物を紹介しながら、映画の本を読むことの喜びを語る。紹介される名著(迷著含む)の中からおいしいエピソードの引用多数で、日本映画のおもしろさを伝える内容にもなっている。

 賞賛とともに紹介されるのは小難しい評論集ではなく、監督、俳優ら映画人自身が書いた本、または映画人に徹底した取材を行った本だ。映画に関する文章でおもしろいのは、要は、こういうモノなのである。

 評価がはっきりしていて気持ち良い。高峰秀子の本は『わたしの渡世日記』以外は「読む必要なし」、小津安二郎の本は『絢爛たる影絵』(高橋治著)が「ダントツにおもしろい」、『聞書アラカン一代 鞍馬天狗のおじさんは』(竹中労著)の場合は、おもしろい箇所に付箋をつけつつ読んでいったら、付箋で本がパンパンにふくれあがった…という具合。

 単に本の紹介の部分がおもしろいってだけぢゃなく、締め切りに悪戦苦闘する古本屋のオヤジのつぶやきという余談の部分もいいので、3800 円とちと高いが、まあ本屋で見かけたらパラパラっとめくって見てくださいな。ってなかなか見つからないと思うけど。

BABA Original: 1999-Dec-09;

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