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2015年12月02日(Wed)

ムーンウォーカーズ 強制起訴シリーズ

起訴者: マツヤマ

強制起訴シリーズ60弾

1969年。10年以上前から続く米ソの宇宙開発競争は、ソ連優位のまま熾烈を極め、アメリカはなんとか月面着陸に於いてはソ連に先を越されまい!と、国家の総力をあげてそれに取り組んでいた。が、何度やってもうまくいかない。もう失敗は許されない・・・そこでCIAはある極秘プロジェクトを計画。それは、もし次のアポロ計画が失敗した時のために、偽の月面着陸映像を作っておき、月面着陸が失敗した場合は、その偽の映像を全世界に流してとにかく月面着陸が成功した事にしよう、というもの。そんな全世界を騙すほどの映像を撮れるのは、前年に「2001年 宇宙の旅」で迫真の宇宙映像を撮ったスタンリー・キューブリック以外にない!・・・という事で、CIAのキッドマン(ロン・パールマン)はキューブリックの住むイギリスに飛んだ。その頃イギリスでは、口先ばっかりで無能なジョニー(ルパート・グリント)が、闇金から借りた借金をなんとかしようと、あたふた走り回っていたのであった・・・。
人類は月には行っていない!という、現代でも根強い陰謀論をネタにしたライトコメディ。フランス&ベルギー映画。

マツヤマ
今日はオレから言わせて貰っていいか?あー、思い切って言うとだな・・・・・・けっこう面白かったぞ!オレは好きだ、この映画!
ヤマネ
ええー!マジっすかー?・・・まぁ、ボクも期待値マイナスで観に行ったから、そこそこ楽しんでは観られたんですけど、ちっとも好きな作品じゃないです。マイケル出て来ないしー!ホウゥ!
元店主
私もかなり微妙というか・・・退屈こそしなかったですが、面白いとは露程も思わなかった。マツヤマさんはどこらへんが好きだったんですか?
マツヤマ
軽いながらもストーリーがちゃんとしていて、脚本がよく練られているところ。それが、期待を膨らませるイエローサブマリンなオープニングと、本題とずれまくったエンドロールに挟まれているところ、かな。よくできた映画だと思うよ。オレ的には「地獄の黙示録+ゲロッパ!」って感じだ。
ヤマネ
な、なんすか?その例・・・。うーん、ボク的にはマツヤマさんと反対の感想です。これ、ちっともよく出来た映画じゃないですよー。特に脚本が雑!後半なんてグダグダでしょ?映画の最初から出ていたロックバンドが、月面着陸撮影をロックオペラと勘違いする、というのは良い発想だと思うけど、それがちゃんと絡んでこない。最後の大ドタバタにロックオペラが絡まないなんて、あり得ないでしょー。
マツヤマ
そうかな。オレはあれぐらいに抑えた方が好みだけどな。いかにも分かりやすく盛り上がるよりは。
ヤマネ
それに、キッドマンとジョニーの間に友情が芽生えるブロマンス展開は唐突ですよ。なんであそこでいきなり仲良くなったのか、さっぱり理解できない。脚本がダメなんすよ、あれは。
マツヤマ
そうなのか・・・。オレは別に自然な展開に思えたけどな。月面着陸映像作成という共同作業とドラッグのおかげ、という訳だろ。
元店主
いや、私もあそこはダメだと思いました。まぁ、あそこでブロマンス展開になるのは、ある意味定番ともいえる展開なんですが、対立していたものの間に友情が芽生える・・・というのを如何に納得できるように展開するか、というのが脚本の腕の見せ所な訳で。その点、この映画はそれに失敗してると思います。そもそも・・・あんまり笑える所がなかったんですよねー、この映画。ちょっと、クスリッとする所は何カ所かありましたが。
マツヤマ
オレだって、声を出して笑った所はないよ。でも、なんとなーく、ジワジワと面白い?ぐらいの感じが心地よかった。なんだか昔のヨーロッパ製のコメディとかみてる感じで。オレ、こういった方が好みかもしれない。最近のハリウッド産のコメディみたいな攻撃的な笑いとかより。
ヤマネ
あ、ボクは一カ所大笑いしましたよ!あの月面着陸の偽映像を撮影するスタジオにCIAの人たちがやってきて、アポロ11号の模型をみて、「お、割とよくできてるやん」「ちゃんと仕事はやってるな」とか言うところ。あんなんでいいんかーい!と笑っちゃいました!
元店主
ああ、まぁね。で、マツヤマさん、言いたい事はなんとな〜く分かるんですけど、“昔のヨーロッパ製のコメディ”って、具体的には何ですか?
マツヤマ
う〜ん、そうだなぁ、例えばチャールズ・フェルドマンが関わった様なやつかな。「カジノロワイヤル」とか「何かいいことないか子猫ちゃん」とか。
元店主
あー、なるほどー。・・・でも、あれは音楽はバカラックだし、出演者も豪華ですからねー。ピーター・オトゥールにロミー・シュナイダー、ピーター・セラーズ、ウディ・アレン、ウルスラ・アンドレス・・・フランソワーズ・アルディまでカメオ出演してますから。それに対してこの映画は、ロン・パールマンに、ハリポタの子、それから・・・?なんか、ゴージャスさの欠片もないんですけど。音楽と役者が良かったら、そら内容が薄くてもオッケー、とは私も思うんですが、この布陣ではちょっと・・・。
ヤマネ
そうなんすよ!とにかく役者陣が薄い。それに登場人物たちの誰にも共感できないし、好感も持てない。これでは映画は面白くなりません!
マツヤマ
うーむ、そうなのか。オレは・・・最初こそ「?」と思ったけど、見終わる頃には出ている人たちみんなのことを好きになっていたぞ。
ヤマネ
ええー!マツヤマさん、凄く度量がありますね・・・あんな人たちを。ま、単に趣味の問題かもしれないけれど・・・。
元店主
オシャレ映画としても弱かったと思います。頑張ってるのは分かるんだけど、今時これぐらい、みんなやってますからね。もうひとひねり、なんかないと・・・。
マツヤマ
オレもそれはそう思う。でも、レナータスの作った前衛映画とか、わりと好きだったけど。あのデブが飛び跳ねてるやつ。あと、エンドロールで流れる現代音楽風の曲とか。ビヨ〜ンンン・・・
ヤマネ
プパプパ!・・・えー、コホン!んでー、マツヤマさん的にはどうだったんですか、この映画の陰謀論の扱いについては。こだわりがあるんでしょ?
マツヤマ
別にないよ。でも、まぁ、無難な扱い方で、不毛な議論を産むのを避ける作りになってたのは良かったんじゃない。
ヤマネ
アポロの月面着陸はキューブリックが撮った偽映像、というネタは、もともとフランスのテレビ局がエイプリルフールにやったものらしいんです。まぁ、それ以前から似たようなことを言ってる人は居たかもしれないけれど、最初に公式に(?)冗談としてやったのはフランス。で、今回の映画は、そのことの再確認的な意味合いがあると、ボクは思うんですけど。
マツヤマ
まぁ、なー。アメリカに対する皮肉みたいなのは、オレも感じたよ。ベトナム戦争のPTSDネタとかさ。あと、偽映像を撮ってたレナータスが、月面セット上に飲んだ空き瓶を捨てるシーンとか・・・やっぱ意味深じゃない?
ヤマネ
ヘ?そんなシーンありましたっけ?
マツヤマ
あったよ!あれ、凄く重要なシーンだよ!あれを覚えてないなんてありえない・・・あ!・・・もしかしてヤマネくん、実はこの映画、観てないんじゃない?
ヤマネ
そ、そんなことありませんよ!そりゃ確かに、「今回は観るのムリですー」とメールしましたけど、むちゃくちゃムリして観に行ったんですから!
マツヤマ
怪しいなぁ。いまどき、ネットで情報集めれば、如何にも観てきたように喋ることできるからな。
ヤマネ
な、なにを言ってるんですか!ちゃんと行きましたよ。ボクにとっては大きな一歩ですよ。
マツヤマ
じゃあ、この映画を観に劇場に行った、という証拠はある?
ヤマネ
証拠って・・・、ああ!ありますよ、ほら。映画のチケット!
マツヤマ
うーん、こんなの簡単に偽造できるしなー。それにこのチケット・・・放射線効果がみられないような。
ヤマネ
「ムーンウォーカーズ」がやってる劇場はどこにあるんですか!
マツヤマ
わははは!冗談だよ。でも、これで「ヤマネくんは映画館に行ってないだろう」論のオリジナルはオレだから。いつか映画にでもするかな。・・・で、12月、今年最後の起訴映画はなんだ?
ヤマネ
はい!やっぱこれでしょうー。「スターウォーズ フォースの覚醒」です!
元店主
うわ!でたー・・・私は一生、スターウォーズとは関わらないで生きていこうと思ってたのに・・・。
マツヤマ
オレも、全く興味ないし、完全圏外だったよ。そうか、そういうの、やるんだよなぁ・・・。
ヤマネ
はいはい、二人とも。これで少しは一般映画ファンに近づけるんじゃないですか。てな訳で、また次回!ホウ!

Comments

投稿者 uno : 2015年12月04日 00:17

いやあ、面白かったです。マツヤマさんと同じく私も好き。
雑だなって思いましたよ、そりゃ。でもなんか憎めないっていうか。
冒頭のイエローサブマリン的な映像に、もしかして安直?と不安を覚え、前半はノレなかったんですが、ギャングのアジトを襲撃するあたりからグイグイきました。ま、全体的に安直なんですが(笑)
グッときまくったのがレターナスのところで映画を作り始める場面で掛かった
Toots & The Maytals / Funky Kingston
もうイントロから興奮しまくり!結構印象的な使い方をしてると思います。(毎度好きな曲に影響されてすみません。。。)
ストーリーが面白い。月面着陸が成功するか失敗するかで肝を冷やすCIAに対し、捏造映像をキューブリックに撮らせる指示を受けたキッドマンが、アヘンとLSDでぶっ飛んでる対比。で、結果としてキッドマンのベトナム戦争でのPTSDがLSDで治る。その馬鹿馬鹿しさが好き。
レターナスのところに行ったあたりから、各エピソードの形が無くなっていき(それはグダグダとも言えるんでしょうが)、それとチープなサイケさ(かなりダサい)と適当なドタバタが妙に合うっていうか、単に私の好みなんでしょうが、ジワジワと可笑しい。
不思議に楽しい映画でした。

投稿者 マツヤマ : 2015年12月05日 19:47

ウノピ

やっぱキミ見る目あるわ。面白かったよね〜!
まったく期待してなかったというスパイスも効いたんだと思うけど、まさに不思議に楽しい映画だった。
脚本がよく出来てるなぁ、最後まで滑らかに話が進んでるなぁ、と思ったのはオレだけみたいだけどね。
おそらく、強制メンバーからもいちばん共感されてないロックバンドのボーカルとか、キモくて全くモテないのに、ボーカルをやってるというだけでモテると信じ込んでんのには哀愁感じたなぁ。モテようと思ってやってんのに、全く伝わってないという、あれけっこうリアルだと思ったなぁ。
個人的には、あのネタでコメディ映画を作ったというのが良かったかな。マジで撮ったのは「カプリコン1」があるけどね。
ただオレの場合は音楽で気持ちが上がる部分はなかった。

投稿者 uno : 2015年12月06日 11:32

マツヤマさん
映画を見終わった後に、面白かった!と思ったんですが、いざコメントを書こうと思うと具体的に何処が。。。と困りました。好みに合ったんですよね。
バンドボーカルの醸し出す情けない哀愁は良かったですね。映画の撮影中にボーカルがやって来た時のジョニーの「うわー、めんどくさいの来た」って感じ。でも映画の事は隠さないといけないし、馴染みだしってんで、撮ってるフリをしてあげる。そのジョニーの情けなさ。いや、気持ちは分かる(笑)

投稿者 オーソン : 2015年12月07日 00:10

僕はダメでした…。最初の方でキューブリックの写真が機内で汚されましたが、顔がわからなくなったから間違えるって、いくらなんでもないだろう、もらった時に見てるだろうし、到着してから、いくらでも顔の確認をすることはできるはずなのに、なんでちゃんとチェックしてないんだ!とモヤモヤした気分でみてました。単なるウッカリしてる人だったらこんな事もあるでしょうが、CIAでこれはちょっと…。また、ロン・パールマンは顔が怖すぎて、表社会での交渉役には向いていないのではとも思います。
あと、PTSDの影響で出てくるベトナムの亡霊(?)が妙に安っぽかったのも気になりました。でも、銃撃戦での流血シーンは思った以上にリアル志向だったので、このバランスは何?と、またモヤモヤする事に…。
こういった事がいちいち気になって、物語に没入できなかったです。
ただ、エンドロールのお腹はいい感じでOKでした。

投稿者 元店主 : 2015年12月07日 02:05

オーソンへ

>ロン・パールマンは顔が怖すぎて、表社会での交渉役には向いていないのではとも思います。

そうだよね〜。ってか、あんなムチャクチャな奴が、国家的プロジェクトをたったひとりで任される、とかあり得ないよね。まぁ、そこらが「エスプリ」なのかもしれないけれど、私にはあんまり面白くない。マツヤマさんやウノピが好感を持っているらしいロックバンドのボーカルとか、「きもい、おもんない」としか思えないし。哀愁とか、全く理解できない・・・。
オーソンとは感覚が合うみたいだねー・・・と、思ったら・・・

>エンドロールのお腹はいい感じでOKでした。

って、また「お腹」かい!「ラブ&マーシー」みても「ヴィンセント」を観ても、注目するのはお腹ばっかり。お腹、お腹、お腹。そこまでお腹が好きなのか・・・、全然感覚合わんわー。

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