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2006年09月12日(Tue)

マイアミ・バイス ☆☆☆★★

Text by BABA

 マイアミ・バイス、やばいす。ババーン! 『ヒート』『コラテラル』など犯罪アクションを撮らせたら滅法リアル、マイケル・マン監督の新作は80年代人気を博した(らしい。見たことない)『特捜刑事マイアミ・バイス』をリヴァイヴァル映画化。くだんのテレヴィ番組はマイケル・マンが製作総指揮だったそうで、思い入れのある題材なのでしょう、こりゃ気合いも入りまくりかー?

 …と、もりもり期待を高めてしまうと「なんだか期待はずれ?」な惨憺たる結果になるところ、さすがマイケル・マン。というか、これ別段『マイアミ・バイス』でなくてもよい感じ。でも、「人気テレヴィの映画化」ということにしとけば宣伝しやすくヒット確実? 資金集めも順調に進みおかげさまで製作費200億円! と無茶なことになっとります。

 コリン・ファレルとジェイミー・フォックスはマイアミ風俗課刑事。どうやら麻薬捜査の情報が漏れてるらしく、調べてくれろとFBIの密命を帯び、アンダーカヴァー(潜入捜査官)として麻薬密売組織に接触するのであった。ババーン!

 となると麻薬の運び屋に化けたコリンとジェイミー、危うく化けの皮がはがれそうになってもそこはトンチでピンチ脱出! …みたいな? 『ヒート』的「プロ VS プロ」のトンチ合戦は展開しません。あしからず。

 代わりと言っては何ですがコリン・ファレルと、麻薬組織幹部コン・リーとの禁断の愛的ラヴロマンスをご用意しました。マイケル・マンはその名が示す通り、イッツ・ア・マンズ・マンズ・ワールドな男と男がぶつかり合う男の世界を男らしく描く男っぽい男な作品ばかり男。女性は添え物な感じなのですけど、今回、新境地を開いて女性の方もお楽しみいただけるかも知れません。知らん。

 いやいや、コリン & コンのデート風景はなかなかロマンティック、コリン「オレはモヒート中毒だぜ」、コン「おいしいモヒートを飲ませる店なら知ってるわ」、キューバのハバナまで高速モーターボートでひとっ飛び! みたいな、『こち亀』中川巡査風の度はずれた豪快セレブ・デートが見どころでございます。

 そんなことはどうでもよくて、マイケル・マンといえば、なんといっても銃器あつかいの巧さ・カッコ良さ。刑事を人質に取り、爆弾の起爆スイッチに指をかけた犯人「撃ってみろよ! 彼女は死ぬぜ!」。犯人にライフルの照準を合わせた女性刑事曰く「…そんなことは起こらないわ。何が起こると思う? 私が引き金を引いたら、秒速820メートルの銃弾があなたの脳髄にブチこまれる。あんたの指はボタンを押すこともできない…」…そして…、みたいな、抜群のリアリティに感銘を受けたのでした。

 ここはちょっと『ダーティ・ハリー』の44マグナムに関するうんちくシーンを思い出したりしまして。

 クライマックスの銃撃戦もやたらリアル! とはいえ、『ヒート』に比べると物足りないのですけれど。

 『コラテラル』でも気色よかったHD撮影による夜間シーンが今回も素晴らしいです。街の灯りに夜空が明るく照らされるところなど、今まで見たことのないような映像、そういう映像とカッコいい音楽、マイケル・マン・タッチが炸裂! ヒリヒリする緊張感はさすがイッツ・ア・マイケルマンズ・ワールド、よろしいんじゃないですか? と。

 麻薬密売人や、悪に転びやすい潜入捜査官の実態もかいま見ることができ興味は尽きず。コン・リーがなぜ、全然イケてないコリン・ファレルに簡単に籠絡されてしまうのか? 釈然としないところは残りつつ、ジェイミー・フォックスの見せ場が少ないんとちゃう? と一人ごちたのでした。オススメ。

公式サイト:
http://www.miami-vice.jp/

Comments

投稿者 Ryo : 2006年09月13日 12:27

こんにちは。
女性捜査官の、あのセリフと行動には、僕もしびれました。
やっぱり、「男」を描かせたら世界一の監督ですね。

ただその分、コン・リーとのラブロマンスがちょっと・・・という感じでした。美人のコン・リーをわざわざ「生活疲れ?」みたいな撮り方をしなくても良いと思ったのですが・・・

ヒート,インサイダーのゆるみのない演出が記憶に鮮烈に残っている分、本作はどうしても中盤の演出のゆるみが気になってしまいました。

投稿者 baba : 2006年09月14日 00:48

>Ryoさん

うわーい。引き続きコメントありがとうございます。
マイケル・マンは「男の世界」と「銃器」を描かせたら天下一品! こってり! と思いますー。

確かに中盤は緩かったですね。というか、なんでコン・リーなのか? 謎。

投稿者 万 : 2006年09月14日 20:09

同じこと書いてしまいますが、私もあの女性捜査官にしびれました!
一番カッコよかったかも。
そう、脇(のほうが)が良かったな〜って思うことが
わりとあるんですよマイケル・マン映画。ヒートとか。モヒカンとか。

投稿者 baba : 2006年09月15日 01:27

>万さん

コメントありがとうございます!
確かに、私もあそこがいちばんカッコよかった! と思います。
次回は(?)、あの女性捜査官にもっと活躍してほしいところですねー。

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