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2005年08月21日(Sun)

Dear フランキー ☆☆☆★★

Text by BABA

 パパからの手紙だけが、ぼくの心の支えだった。ババーン!

 少年フランキーは聴覚障害を持ち、引っ越しばっかししてるけど、母リジーとおばあちゃんと三人、気丈に貧乏暮らししております。今度の引っ越し先は港町グラスゴー。父親はどうやら船乗りで、ずーっと家族のもとに帰らず。フランキーは、父から届く手紙を楽しみにしておりますが、その手紙は実は…というお話。

 と、いうわけでみなさんお好きな、貧乏人子供が主人公の映画です…って好きなのは私だけですか? イギリス映画には、『ケス』などケン・ローチ作品を筆頭に貧乏人リアリズム映画の系譜あり、またチャールズ・ディケンズ原作・デヴィッド・リーン監督『オリヴァ・ツイスト』など、子供がえらい目に会う物語の伝統もあって、ブリティッシュ貧乏人子供映画なら、面白さは保障されたも同然です。か?

 で実際のところ『Dear フランキー』もケン・ローチ風の、見事なブリティッシュ貧乏人映画でございました。

 以下ネタバレですが、「父からの手紙」は実は母親が書いており…ってバレバレですけど、母親はフランキーをおもんばかって、偽手紙を書きますが、フランキーからの返事を楽しみにしまくる自分に卒然と気づき、結局実は、自分自身のために偽手紙を書いていたのだ…というあたりの人間分析鋭く、ネタ的に似たような話ですけど『ニライカナイからの手紙』とはだいぶリアリティが違う…と一人ごちました。

 父親が乗ってる(と、母がウソをついている)船がグラスゴーに入港してくる! すわウソがばれてしまう! と、母リジーは、父親の代役を演じてくれる者を探して、むくつけき労働者どもがたむろするパブを徘徊し、パブのおばはんに「ここで商売するんじゃないよ!」などと言われてしまう…みたいな、なかなかに悲痛なシーンもあって、私は茫然とカタルシスをおぼえたのでした。

 とはいえラストには、かすかな、ほのかな希望があり、ケン・ローチ映画のようにズズーンと暗く落ち込んで映画館を後にする…なんてことはございませんのでご安心ください。

 母エミリー・モーティマー、フランキーはジャック・マケルホーン、謎の男ジェラルド・バトラー、よく知らない地味なキャスティングですがそれぞれ好演、港町グラスゴーのロケーションもしみじみとよい感じでオススメです。

☆☆☆★★(☆= 20 点・★= 5 点)

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