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 Movie Review 2005年4月11日(Mon.)

マシニスト

 すでに1年間365日眠っていない。人間の想像と限界を超えた未体験ショック・ムービー! ババーン! …宣伝文では「すでに365日眠っていない男の366日目からの未体験ショック・ムービー」…と申されますけど、そもそも人間、そんなに不眠でいられるわけがなく、この作品の主人公も「不眠症」「睡眠障害」が1年続いているだけ、映画の中で何度もうたた寝するシーンがありますので、ご安心ください。

 んで、主人公・機械工のクリスチャン・ベイルは不眠症続きで、すっかりやせ衰えて『痩せゆく男』状態、心神耗弱に陥っていく…というお話。

 ちょっとしたどんでん返しがあり、クリスチャン・ベイルがなぜ不眠症に陥ったか? が明らかになって、それまでの妄想もなるほどそういうことだったのですね、と納得させられました。最近はやりの[どんでん返しにもほどがあるどんでん返し映画]とは一線を画し、どんでん返って話が深みを増し、やっぱり×××(自粛)という罪を犯すと、それ相応に苦しまなければならないという、因果応報的・教訓的・教育的な中身で、全国交通安全協会に推薦されてもおかしくない内容となっとります。

 逆に、すべてに合理的な解釈がつけられるのが物足りないかも? とも思いますけど、それはともかく映画のムウドが独特、色彩を抑えて明暗を強調、音楽は『めまい』『サイコ』のバーナード・ハーマン調、50年代アメリカのフィルム・ノワール、ニューロティック・ムーヴィーの雰囲気ただよってなかなかよろしく、また舞台設定はロサンジェルスですが、バルセロナで撮影された、というのも不思議な雰囲気を醸し出している…かもしれません。

 さらに、『アメリカン・サイコ』でジム通いのムキムキ野郎から一転、ダイエットの限界に挑戦したクリスチャン・ベイルの骨皮筋右衛門(ほねかわ すじえもん)ぶりが圧倒的で、[奇人変人]を見物する、みたいな、[見せ物小屋]的興味も満足させてくれます。

「サンダンス映画祭で話題独占!」と言われると、「どうせまた、貧乏くさい映画か?」と思ってしまいますが、クリスチャン・ベイルと男の子が入場する[ルート666]なるアトラクションのセットは[サンダンス映画]にしては、お金がかかってる印象で、ちょっと盛り上がってしまいました。

 機械工が、機械に腕をまきこまれて…ぎゃー! みたいなショッキングなサスペンス描写も素晴らしく、グロいのが苦手な方にはオススメしませんが、ちょっとした掘り出し物、オススメです。

☆☆☆★(☆= 20 点・★= 5 点)

BABA Original: 2005-Apr-8;