京都三条 カフェ・オパール Cafe Opal:Home

Home > Reviews > 04 > 1021
 Movie Review 2004・10月21日(Thu.)

デビルマン

 人間は庇護(まも)るにたるべき存在か。伝説の原作、遂に完全実写化!! ババーン!

 いちばん笑ったのは、主人公・不動明がデーモンと合体した刹那、「あわわわわ、俺、デーモンになっちゃったよ」と沈着冷静、棒読みでうろたえているところ、その友人・飛鳥了、これまた素で、「違うよ、デビルマンだよ……ハッピーバースデイ! デビルマン!!」というシーンです。

 期待せずに見に行ったら、いくつか笑えるシーンがあってよかった、みたいな感じでオススメです。

(☆= 20 点・★= 5 点)

 と、今回は結論から述べさせていただきました。論文の書き方マニュアルで「トップ・ヘビー top heavy の原則」というそうです。そんなことはどうでもいいのですが、あちこちに多大な影響を与えた永井豪の名作マンガ『デビルマン』、「遂に完全実写化」、しかしこれは宣伝文句に偽りあり、肝心要のデビルマンは CG で「実写」ではありません。実写のデビルマンは『鉄男』だし。同じく「実写」を売りにした『サンダーバード』もそうでしたが、「CG」をなぜ「実写」というのか? 世間では「CG」は「実写」の範疇なのか? と問いつめたいのをグッと我慢、今回の映画化で面白いのは(面白くないけど)、「やおい」感が拡大・強調されており、「デーモン」とはマイノリティのメタファー、わけても「ゲイセクシャル」を意味し、飛鳥了は主人公・不動明をゲイセクシャルに引き込もうと奮闘し、とりあえずゲイ道に進んだ不動明、かといって完全なゲイでなく、「ゲイヘテロだ!」「ハッピーバースデイ! ゲイヘテロ!」、宇崎竜童に「ボク、ゲイヘテロなんです! お父さん!」とコクったりして、やっぱり美樹ちゃんかな? とフラフラしてたら美樹ちゃんは首チョンパ、なぜか教会に行ったら突如、花婿衣装の飛鳥了が現れ「そら見たことか」と言わんばかり、大げんかが始まって、やがて飛鳥了と不動明は「やるなぁ、お前」って感じで和解しますが、その時すでに不動明の下半身はなくなっていて飛鳥了ガッカリ、みたいなお話。

 そんなことはどうでもよくて、万万万万万万万万が一(10-32、『デビルマン』原作の面白さの再現を期待すると、ビックリガッカリします。まるで、「『ルパン三世』実写版」を見に行ったら目黒祐樹の『念力珍作戦』だった! というくらい落胆すること間違いなし、いや、『念力珍作戦』はなかなか愉快な作品なのであれはあれで良かったのですが、『デビルマン』といえば、目をつぶって映画化しても面白くなるはずなのに、このモッサさはいかがしたことか?

 と、いつまででもガッカリしていても仕方ないので(ちょっぴり期待していた私)、なにがしかの教訓を引き出すなら、やはりギレルモ・デル・トロ『ヘルボーイ』、サム・ライミ『スパイダーマン 2』のごとくコミックオタクが撮らないと原作ファンは決して満足せず、それは一部のオタクだけが喜ぶ危険がある両刃の剣、しかし、『CASSHERN』もそうでしたが、まずオタクを喜ばせないでどうする? つまりオタク監督をコントロールして一般ウケもするところに落とし込む、クレヴァーなプロデューサーが日本にいないのが問題なのでありましょう。か?

 では『デビルマン』映画化という隠れ蓑で、脚本家・監督が好き放題に自分の世界を展開しているかというとそうでもなく、何がやりたいのかよくわからず、そうなりますとたとえば寺山修二による『百年の孤独』映画化、原作者のクレームで『さらば箱舟』と改題させられたように、永井豪ちゃんは「こんなもん『デビルマン』じゃないやい! プンプン!」とクレームをつけるべき、そうなって違うタイトル、たとえば『ヂビルマソ』で公開されていたとしたらもっと面白く見られたかも?

 ともかく、たまには都会の雑踏をはなれ、映画館の暗闇で無為な 2 時間ぱかしを過ごす余裕が現代人には必要か? って感じでオススメです。原作ファンの方は、「自分がいかに、『デビルマン』を愛しているか?」を再確認していただくために、必見。

やっぱり★(☆= 20 点・★= 5 点)

BABA Original: 2004-Oct-15