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 Movie Review 2004・3月24日(Wed.)

テキサス・チェーンソー

 お願い、あの音を止めて…。ぎゃあぁぁぁ! 『アルマゲドン』のマイケル・ベイがあの実話に捧げる! ババーン! って、私がかつてあまりの恐さに「映画館から逃げ出したい!」…と思ったホラー映画が 2 本だけあって、ひとつは野村芳太郎監督『震える舌』、もう一本がトビー・フーパー監督『悪魔のいけにえ』です。SF 映画の金字塔が『2001 年宇宙の旅』なら、ホラー金字塔は『悪魔のいけにえ』であろう、うむ。と勝手にごちるのですが、その金字塔的傑作をリメイクしようとは、なんたる暴挙! さすがマイケル・ベイである、うむ。

 って、色々地味なテクニックも駆使して観客の感情をコントロールしなければならないホラーをそんじょそこらの MTV 出身監督が撮れるはずもなく、どうせグッとためることもできず緩急つけることもなく、スリルもなければサスペンスもなく、もちろん恐怖という感情を喚起せしめることなど不可能であろう、と予想したところ、冒頭、1973 年、レイナード・スキナードのコンサートに向かうヤング 5 名、車中のどうでもいい会話をだらだらゆるゆる描き、キャラを少しずつ立てていく演出はホラーのオープニングとしては上出来ですが、いきなりドカンとショックシーン炸裂! …やっぱり我慢できなかったようです。ってマイケル・ベイは今回製作で、監督は劇場用長編は新人マーカス・ニスペル。MTV・CM 出身なんで、個々の映像・美術はなかなか凝ってて、カッコいいシーンもいくつかあります。

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 が、そんなことはどうでもよくて、この作品を全人類どころか全生物必見の作品にしているのは、R ・リー・アーメイが出演していることである! そう、その題名を口にしただけで震えが来る超傑作『フルメタル・ジャケット』のハートマン軍曹であります!! サー、イエス、サー!! 不幸にしてハートマン軍曹をご存じない方は、「軍曹語録」という超ナイスなページとかご覧ください。

「軍曹語録」
http://www.hcn.zaq.ne.jp/ganso/neta/sergeant01.htm
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 さてこのハートマン軍曹、成仏できず『さまよう魂たち(ピーター・ジャクソン監督)で墓場をうろうろする以前 1973 年当時はテキサスで保安官をされていたのですね。“レザーフェイス”氏がチェーンソーをブインブイン振り回そうが何しようが、ハートマン軍曹と同じ映画に出てしまったのが運の尽き、はっきり言って、ハートマン軍曹の方が 100 億倍恐いです。

 ハートマン軍曹、『フルメタル・ジャケット』と同じ頃の話にしては少々お歳を召されている印象ですが、ヒッピーヤングにドカンとカミナリ落として愉快・痛快・奇々怪々!! 最高です。『テキサス・チェーンソー』などという、どうでもいい邦題でなく、『ハートマン軍曹 VS レザーフェイス』にして欲しかった。『フレディ VS ジェイソン』みたいに。って対決するわけではありません。というか、対決して欲しかった!

 ヤング 5 名がひどい目に遭いますが、ハートマン軍曹が出ているおかげで、作り手の誤算なのか計算なのか結局のところ、「ぬるい善意がアダとなって、他人の敷地にズカズカ不法侵入したヒッピーヤングがコテンパンに成敗される話」、正義はハートマン軍曹にあり! 私は、同じ話なのに『悪魔のいけにえ』とはまるで違う感銘を受け、やはりハートマン軍曹は偉大である、うむ。と一人ごちたのでした。

 ですのでハートマン軍曹が退場されてからはホントどうでもよい感じで、その後もダラダラと追っかけっこを展開されるレザーフェイスと生き残りジェシカ・ビール(『ルールズ・オブ・アトラクション』)は、「誰がこの映画の主役か?」をわきまえぬ大うつけ者と言えましょう。ハートマン軍曹に敬意を抱く全人類は必ず見なければなりません。バチグンのオススメ。恐いシーンが嫌いな人は、ズッと目をつぶって、ハートマン軍曹の声が聞こえてきたら目を開けましょう。ハートマン軍曹最高!!

☆☆★★(☆= 20 点・★= 5 点)

BABA Original: 2004-Mar-23;
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