京都三条 カフェ・オパール Cafe Opal:Home

Home > Reviews > 03 > 1015
 Movie Review 2003・10月15日(WED.)

トゥームレイダー 2

 そこそこ面白かった前作サイモン・ウエスト監督(『コン・エアー』『ザ・ロック』)から、今回は、なんとヤン、デ、ボンじゃござんせんか!? うーむ、なんででしょう? デ・ボンといえば、『スピード』がちょびっと面白かっただけで、壊滅的につまらない作品を連発する監督です。『スピード 2』『ホーンティング』みたいな大凡作を撮るお方に、なぜ撮らせる? ギャラが安かったのでしょうか?

 それはともかく、以下ネタバレ。

 デ・ボンの「ボン」は凡作の「凡」、デ・ボンに面白い映画が撮れるわけがない! との予想に反して、約 3 ヶ所、面白かったところがありました。

  1. ララ・クロフトが敵に終われてビルの屋上に逃げ、モモンガーウーマンに変身して脱出するところ。(3 点)
  2. 今回「パンドラの筺」を探すのですけど、そのヒントは謎の球にあり! ってことでその謎を解くと、ダーンと映像が出現します。象さんやキリンさんが、大草原を闊歩する姿が映し出され、ララ・クロフトは卒然と悟ります。「わかったわ! アフリカよ!!」……そら、アフリカかも知れませんが…。悲しいことに爆笑してしまいました。あはは。とほほ。(1 点)
  3. 「アフリカ、キリマンジャロ近く」という素晴らしい手がかりを得て、ララ・クロフトが見つけた「パンドラの筺」は…めっちゃ「箱」やん! 重箱みたいです。こんな箱でいいのでしょうかね? またまた大笑いしてしまいました。(1 点)

 とはいえ『ホーンティング』に比べても、笑いどころ激減、デ・ボン、ますます駄目じゃん! って、そもそも脚本が駄目なのです。

 例えば、「パンドラの筺」が結局開けられないのはどうか? 大衆の欲望を映像化するのが映画なのです(適当)。拳銃は撃たれなければならないし、鍵は鍵穴に差し込まれねばならない、そして箱は、開けられなければならない、と思うのです。「パンドラの筺」は、「開けると大変なことになる」らしいのですけど、セリフで説明するだけでは駄目で、開けて見せないことには観客にはわからないのです。物語のキーとなる「パンドラの筺」パワーがはっきりしないと、ララ・クロフトの苦労は一体? って感じですよね。

 監督・脚本が駄目でも、アンジェリーナ・ジョリーがカッコ良ければすべて良し! …って前作がまさにそうだったのですけど、今回はそれも駄目。シリーズ物なのに、キャラ造型が全然変わっております。前作においては「私、所詮金持ちのレジャーとしてトゥームレイダー=墓荒らしやってます!」みたいな余裕があり、ニッコリ笑って窮地を脱するのがチャーミングだったのですけれど、今回は女王陛下の依頼によって、…ってあんたはジェームズ・ボンドか? 殺しのライセンスをもらったから人をブチ殺しまくるのか? 確か前作では人殺しはしてなかったはずで、今回それほど余裕がなくなっているわけですね。悲壮感を漂わせて元彼を殺すにいたって、こんなんララ・クロフトではない! と私は一人ごちたのでした。よく知りませんが。

 ともかくオープニングからして駄目、ララ・クロフトは、アレクサンダー大王の幻の宮殿を見つけ、「謎の球」を盗むため、いきなりガスバーナーで台座を焼き切り始める始末です。おいおい、その台座にも重要な価値があるのではないか? 「見るのはいいけど触れて変化させるのは駄目」というのが遺跡発掘のルールではないのか? って墓荒らしだから良いのか?

 まあこんなところに、他国を侵略、お宝を略奪しまくったイギリス帝国主義気質が剥き出しになっております。それ以降も、妙に中国人やアフリカ人を小馬鹿にした描写が続き、ムカつくって感じ?

 もう、デ・凡に監督させるな! アンジェリーナ・ジョリーファンの方にもオススメしません。覚悟の上でどうぞ。

(☆= 20 点・★= 5 点)

BABA Original: 2003-oct-15;

レビュー目次