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 Movie Review 2003・11月10日(MON.)

ジョニー・
イングリッシュ

 脚本担当はニール・パーヴィス & ロバート・ウェイド、007 『ワールド・イズ・ノット・イナフ』『ダイ・アナザー・デイ』のコンビでございます。最近のブロスナン・ボンドと来たら、お話は荒唐無稽の極み、アホ丸出し、チンポ出し過ぎ、「真実のスパイの姿はそんなもんではない!」とフラストレーションがたまっていたのかどうなのか、非情なまでのリアリズムに徹し、英国諜報員を描かんとす試みが、『ジョニー・イングリッシュ』なのである。ババーン!

 まず我々は、英国諜報部から優秀な人材はすべて失われてしまった、という衝撃の事実を目の当たりにします。下働き内勤スパイが、第一線に送り出され、英国国民の血税を無駄遣いしながら、任務に当たるのであった。回転寿司屋を阿鼻叫喚のるつぼに叩き込んだり、ロンドン市街で無謀運転したり、葬式に乱入し故人を冒涜したり…と、スパイ=国家公務員の、国民の下僕たる身分をわきまえぬ非道の数々、というか、「俺たちはなんだかんだいっても英国を守ってるんだぜ」式の傲岸不遜ぶりに、私は呆然と怒り心頭に発したのでした。

 数々の迷惑行為・破壊行為をくり返しながらも、主人公ジョニー・イングリッシュは、フランス貴族「英国乗っ取り計画」を阻止、「結果よければすべて良し」、スパイの仕事とはそういうものなのでしょうが、ここで描かれる事件は、別にスパイでなくても、警察が何とかすべき事件じゃないですか? 本来警察の領分に、スパイがしゃしゃり出て現場をかき乱す、という驚くべき実態が暴露されるのであった。いやまったく英国のスパイはとんでもないことになっていますね、と私は呆然と大笑いしたのでした。あー笑った笑った。

 監督はちょっと面白かった『スライディング・ドア』ピーター・ハウイット、小ネタばかりで、がんがんエスカレートする笑いが稀薄で物足りませんが、ローワン・アトキンソンの芸の数々、ジョン・マルコビッチのフランス訛英語が素晴らしいです。しかし、そもそも最近の『007』自体が、過去の『007』のパロディで充分笑かしてくれており、例えばピアース・ブロスナンの代わりにローワン・アトキンソンがジェームズ・ボンドを演じたとしても不思議ではないわけで、というか、ジョニー・イングリッシュをブロスナンが演じていたら面白かったんじゃないかなー? とりあえず、ローワン・アトキンソン好きの方にオススメです。

☆☆★★★(☆= 20 点・★= 5 点)

BABA Original: 2003-nov-4;

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