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 Movie Review 2003・7月3日(THU.)

アザー・ファイナル

 さて、昨年 2002 年ワールドカップ、ドイツ VS ブラジルの優勝決定戦と同じ 6 月 30 日、ブータンでは世界最下位決定戦が行われていたのであった。ババーン!

 この試合の発案者オランダ青年ヨハン・クレイマー氏、自国オランダが、まさかのワールドカップ予選敗退を喫し、がっくりと意気消沈、しかし 4 年の一度のワールドカップで盛り上がらないのは業腹とばかりに、FIFA ランキングをつらつら眺め、ランキング 202 位のモンセラトと 201 位のブータンの試合を思いついたそうです。ヨハン・クレイマー氏は本業 CM ディレクターで、このドキュメンタリーの監督でもあります。

 ブータン、そしてモンセラトがどういう国であるか? それぞれの国のサッカー事情は? また、試合実現までの苦労話など、素直に描けば、さぞ愉快な作品になったことでしょう。グッと対象に踏み込めば、感動のドキュメンタリーとなったことでしょう。サッカーというスポーツを通じ、アジアの高地ブータンと、カリブ海の島国モンセラトが交流を深める、とは、ただお話を聞いただけで目頭が熱くなる思いなのですが、映画の仕上がりと申しますとこれいかに、画面は粗く、CM 風、MTV 風の編集が施され、たいそう見づらいドキュメンタリーに仕上がっておりまして、せっかくの題材が生かされていないゾ、と私は呆然と一人ごちました。肝心の試合シーンもブツ切れでまったく手に汗握らせてくれないのはいかがなものでしょうか。

 この、世紀の決戦をコーディネイトした点でヨハン・クレイマー氏の功績は大きいが、なんだかよくわからない演出を施してしまった罪は大きい。かも知れません。映画の最後に、「さあ、劇場を出てサッカーボールを蹴りに行こう!」とメッセージが表示されますが、そもそも最初からサッカーボールを蹴る方が有意義な時間が過ごせるかも知れません。というか、自分で発案・コーディネイトした試合のドキュメンタリーを、自分の好きなように仕上げた、いわばホームムーヴィーみたいなものですので、私のように劇場の椅子でヌクヌクと鑑賞している者が文句を付ける筋合いではない。

 (アメリカ以外の)世界中の人びとが楽しめるサッカー、というスポーツの圧倒的な素晴らしさは伝わってきますのでオススメです。

☆★★(☆= 20 点・★= 5 点)

BABA Original: 2003-Jul-3;

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