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 Movie Review 2003・2月4日(TUE.)

運命の女

『ナイン・ハーフ』『危険な情事』のエイドリアン・ラインの新作は、例によってというかなんというか、ミュージッククリップ風の美しい映像で女性にも無理なく見ていただけるソフトポルノで、主婦ダイアン・レーンが偶然にもラテン系フランス人に出会って退っ引きならない関係を結び、色キチガイとなってアパートの階段、映画館、カフェのトイレでのべつまくなしまぐわって、御年 37 歳ダイアン・レーンの官能演技が炸裂、なんとも赤面しつつ、嗚呼、あの『リトル・ロマンス』のいたいけな少女がラテン野郎にのめり込むとは、うらやましいぞ、フランス人! とうらやましがっている場合ではなく、ただただエッチなお話かといえばそうでもなく、元ネタはクロード・シャブロール監督の『La Femme Infilele』(1968 ・未見)だそうで、シャブロール監督といえばアメリカ 50 年代フィルム・ノワールをリスペクトしそれ風の心理サスペンスを得意とされていたのですが最近どうされているのでしょうか? 『主婦マリーがしたこと』以降見てないなー、という余談はおいといて、妻の不倫を知った旦那が取った行動とは? ババーン! というあたりからフィルム・ノワール的雰囲気が漂うのですが、それにしては映像が美し過ぎる。テクニックが華麗過ぎる。画面の構図がカッコ良過ぎる、MTV っぽ過ぎる。

 いつものエイドリアン・ライン作品の枠組みを越えそうでいて、越えられず、もどかしく思いつつも、美人妻をコマされる旦那がなんと! 犬男リチャード・ギア! 想像するに世の夫にとって、これ以上の心理的苦痛があろうか? というとんでもない悲劇にみまわれ、さすがにリチャード「うぬぬー、辛すぎてなんか気持ち悪くなってキターーーー!」と苦悶の表情を浮かべる姿に、私は呆然と同情の涙を禁じ得ず、しかし優れた悲劇は同時に喜劇ですから、「ぎゃははははは! ざまーみろ!(何?)」と大笑いしたのでした。って痛快。

 それはともかくちょっと切ないラストが良いし、官能に身を震わせる(書いてて恥ずかしいです)ダイアン・レーンが最高ですし、ラテン男を演じるオリヴィエ・マルティネスもゴージャスな感じ、何よりやっぱりリチャード・ギアがダサダサの中年社長という、お似合いの役柄をやっと見つけたということで、なんだかよくわからない日本語題名からは想像もつかない、意外なオススメ。

☆☆☆★(☆= 20 点・★= 5 点)

BABA

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