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 Movie Review 2003・8月27日(WED.)

呪怨2

公式サイト: http://www.juon2.jp/

 オリジナル・ヴィデオ『呪怨』『呪怨 2』が超恐いと評判を呼び、映画版『呪怨』が製作され、その続編はついに MOVIX 京都で大々的に公開。例によって惨殺事件があった一軒家に関わる者に奇々怪々な現象が起こり白塗り・裸ンボ少年・俊雄君がひょっこり出現、クライマックスは伽椰子さんがギクシャクと迫り来る! きゃーー!(くり返し) という怪奇小話集を、時系列を入れ替えて語っていきます。

 このシリーズ、「夜中に目を覚ますと子どもが見ていた」「天井裏に、血まみれの女の人がいた」「携帯電話からクカカカカカという音がした」などの『新耳袋』テイストが素晴らしいです。エピソード単体ではめちゃ恐いってわけではないですけど、いくつもそういう話が続けられると段々気色悪くなってくる感じ、単純なオムニバスにするでなく、時系列をずらして、ある挿話の主人公が別の話で脇役となる『パルプ・フィクション』風だったりするのも面白いのですけど、そんなことはどうでもよくて、ヒョコッと俊雄君が出現するのがバチグンで、しかしさすがにヴィデオも入れて 4 本目ともなると見慣れてしまいました。

 伽椰子さんがギクシャクと迫り来るのも「またですか?」、というか、そもそも当初、『リング』の貞子さんのパチモンという印象を受けてしまったのですけど、聞けば髪の長い女性がギクシャクと迫り来るイメージはこの『呪怨』の清水崇監督が元祖だそうです(「『呪怨』について 高橋洋」 参照)。とはいえやっぱり貞子さんを先に見てしまい、しかも貞子さんは『らせん』『リング 0』で恐くも何ともない存在になってしまって、私は伽椰子さんより俊雄君が好きです。

 と、申しましょうか、どこにでもありそうな住宅地の一軒家を舞台に設定し、ひょっとしたらこんなことが本当にあるかも? と寒気を感じさせるのが『呪怨』シリーズの偉大なところなのですが、4 作目となって、呪いの一軒家に関わって死んだ者の数は、すでに 40 〜 50 人(推定)という規模になり、産婦人科で○○が誕生するとか、「あり得ない」感じがツーンと漂って、そんな話では『新耳袋』に載せてもらえないじゃん、せっかく生まれた新しい恐怖も、消費されて恐くなくなっちゃうのですね、と、恐い映画好きの私は、一抹の無常感を覚えたのでした。清水崇監督、ちょっと俊雄君+伽椰子さんでひっぱり過ぎではないでしょうか? そろそろスパッと違う話を撮らないと、才能が枯れてしまわないでしょうか? なんでもサム・ライミ製作でハリウッド版が準備中とのこと、一度、非ホラーを撮られてはいかがしょうか、と老婆心ながら思うわけです。

 と、いうか、前述の高橋洋氏の話にあった美学校時代の課題作が猛烈に見たいです。私を恐がらせてくれ! と、暗闇で一人ごちたのでした。ヴィデオ版や映画版前作を見ていなくても大丈夫、というか、『呪怨』シリーズを初めて見る方ほど堪能していただけると存じます。オススメ。

☆☆★★(☆= 20 点・★= 5 点)

BABA Original: 2003-Aug-26;

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