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 Movie Review 2002・10月12日(SAT.)

キッスで殺せ

 1955 年、ロバート・アルドリッチ製作・監督作。京都イタリア会館でヒッソリと公開され、上映は終わってしまいましたが、バチグンの面白さでしたのでレビュー。

 ロバート・アルドリッチといえば、『特攻大作戦』『北国の帝王』『ロンゲスト・ヤード』の豪快男気映画や、『何がジェーンに起こったか?』『攻撃』など、うーむとうなる問題作の数々、ハリウッドのメインストリームをはずれたところで超級の傑作を連発した監督でございますね。遺作の『カリフォルニア・ドールズ』はアメリカ映画史上に燦然と輝く大傑作。バチグンのオススメ。…って、だいぶ前に見たのでほとんど忘れてますが。

 ロバート・アルドリッチは、ハリウッド「赤狩り」に毅然とした態度を取り続け、一時期は亡命したみたいな形でヨーロッパで映画を撮っていた、という反骨の人です。1955 年製作のこの作品も、反逆精神に満ちあふれております。なんせオープニングのクレジットタイトルからして、上から下方向に、普通の逆に流れていくのである。と、いうのはどうでもいいですね。読みにくくてしょうがない。

 当時、あからさまな残酷描写はできなかったので、それらはフレーム外の出来事として描かれます。それが得も言われぬ味わいを醸し出しており、エッジの効いた表現に成り得ている。思わず笑っちゃうのですが。例えば、主人公マイク・ハマーが悪漢用心棒を一瞬のうちに気絶させる。マイクが何をしたかは謎のままで、すべては観客の想像にまかされている。

 ストーリーも、こういうハードボイルド映画の常として、登場人物がウソをつく場合が多く、途中で話が見えなくなってくる。観客は余白を自力で埋めながら映画を見ることになり、ほぼ半世紀も前の映画ににも関わらず、まったく古さを感じさせないのですね。…なんか、凄いです。

 主人公のキャラクターにしても、一応「私立探偵」ですが、例えば「濱マイク」みたいな街の人気者(よく知りませんが)ではなく、半ば美人局まがいの脅迫もする、ただトラブルの渦中にあることにのみ喜びを見出す「異常者」なんですね。見る人によっては「もの凄い嫌なヤツ」です。1955 年当時、余りヒットしなかったそうで、さもありなん。

 結末にしても、「なんじゃこりゃー!?」と呆然と頭をかかえざるを得ない。禍々しさに満ちている。ロバート・アルドリッチの映画は、「名作・クラシック」の枠に収まることを拒絶し続けているのである。適当。

 ともかく、オープニング、トレンチコートを着た美女が真夜中のハイウェイを裸足で駆けぬけるオープニングから、途方に暮れるラストまで、すべてのシーンに「映画」が詰まりまくった傑作。バチグンのオススメ。

☆☆☆☆★★(☆= 20 点・★= 5 点)

BABA Original: 2002-Jan-12;

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