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 Movie Review 2002・11月22日(FRI.)

まぼろし

『ホームドラマ』『焼け石に水』など、若くしてスタイリッシュかつちょっと変なところのある作風を確立しつつあるフランソワ・オゾンの新作は、とにもかくにも 100 %シャーロット・ランプリングである! ババーン!

 1967 年パリ生まれ、今年 35 歳くらいの映画キチガイ/フランソワ・オゾンにとって、『愛の嵐』のシャーロット・ランプリングこそ女優の中の女優なのでありましょう。シャーロット・ランプリングを撮ることの喜びが映画に充ち満ちているのであります。

 で、今年 57 歳のシャーロット・ランプリングがこれまた素晴らしく、何気ない立ち居振る舞いすべてが絵になるのでございました。シャーロット・ランプリング演じるは、突如、最愛の夫が消えてしまった一人の女性、なんですけど、ただ日常を追っていく。この女性、大学で英米文学の講義をもっておられるのですが、ヴァージニア・ウルフの『波』(よく知りません)を朗読します。シャーロット・ランプリングがヴァージニア・ウルフ(よく知りません)を朗読し、フランソワ・オゾンがそれを撮る。…うーむ、カッコいい! …と私は呆然と一人ごちたのでした。

 淡々としたタッチは、短編時代の『海を見る』に近く、『ホームドラマ』『焼け石に水』に見られた、ブラックかつシニカルな笑いは陰を潜めております。シャーロット・ランプリング様の映画で、ふざけてなんていられるか! ちゅうことでしょうかね。

 消え去る前に夫が、薪拾いに林に入る。なぜか木の幹が大写しになる。むむむ。それだけで奇妙なサスペンスが生じる。フランソワ・オゾン、最高ですね。シャーロット・ランプリング?  誰それ? って方も、なんかこのオバサン、カッコいい! と感心していただけるのではないでしょうか。ほんとに、シャーロット・ランプリングだけって感じですが、オススメです。

☆☆☆★★(☆= 20 点・★= 5 点)

BABA Original: 2002-Nov-22;

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