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 Movie Review 2002・5月10日(WED.)

友へ/チング

「チング」って何? 「親旧」と書いて、「古くからの親友」という意味です。あービックリした。それはともかく韓国では、『シュリ』『JSA』の興行記録をあっさり塗り替え、映画のセリフが流行語になるなど「チング」現象を巻き起こしている話題作だそうです。

 小学生時代は釜山のご近所で楽しく仲良く過ごしていた 4 人が、高校で再開。うち 2 人は喧嘩が滅法強いワルに成長。やがて卒業、ワル 2 人は対立するヤクザ組織でそれぞれのし上がり、やがて悲劇が…という 1960 年代〜 90 年代にわたる 4 人の男の友情を、時々の韓国の風俗や政治状況に言及しつつ描きます。

 監督・脚本はクァク・キョンテク。自らの実体験をベースにしたストーリーだそうですが、自意識過剰さはカケラも無く、ニューヨーク大学映画学科に留学していただけのことはあってか、アメリカ映画的な、たいそう洗練された演出であります。

 私、韓国映画は数えるほどしか見ておりませんが、『シュリ』『JSA』などは、どことなーく「韓国人やないと、わからんかも?」ってところがありましてな、ところが『チング』の場合、そりゃ細かな時代背景などわからんところも多々あれど、この、何ちゅうか、子供のときの親友がどんどん変貌していく感じ、少しのすれ違いからだんだん仲が悪くなっていく感じ、やっぱり信頼できるのは昔からの親友だけやなー…という感じは、インターナショナルな共感を得られるモノになっている、と思うのですね。

 活況が伝えられる韓国映画ですが、ついに世界基準に耐えうる作品が登場した、と私はアッと驚いたのでした。

 そんなことはどうでもよくて、主演のワル二人を演じるユ・オソン、チャン・ドンゴンが素晴らしいです。特にチャン・ドンゴンは若き日の小林旭か高橋英二の日活映画の雰囲気が漂って、「うーん、こういう暗い目こそ、“映画的”なのだ!」と私はワケのわからない感動にうち震えたのでした。

『新・仁義なき戦い。』(坂本順二監督)よりもずーっと『仁義なき戦い』の新版っぽい、というか、韓国において仁義果つるところに残ったのは、男の友情であった、ってことで男気炸裂、男なら泣くべし! あれ? 5 月 10 日で終わりですか? ガーン。すべての男にオススメ。

☆☆☆★★(☆= 20 点・★= 5 点)

BABA Original: 2002-May-10;

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