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 Movie Review 2002・5月7日(TUE.)

モンスターズ・インク

「モンスターズ・インク」とは、幼児の「恐怖の悲鳴」をエネルギーに変換して供給する会社です。モンスターズ・インクに人間の幼児が闖入、ドタバタ騒ぎの後、モンスターたちは、幼児の「笑い声」が「悲鳴」の数万倍のエネルギーを生み出すことに気が付くのでした。

「恐怖」をエネルギーにする組織とは、警察、アメリカ軍、CIA 、FBI などを連想させ、ここでは恐怖政治より、映画・音楽・コカコーラなどの娯楽・嗜好品の方が、より強力な支配力を持つことが示されているのでした。アメリカの文化戦略を如実に語った作品なんですね。

 また、このアニメは、日本のアニメの影響を多分に受けています。クライマックスの活劇はまさしく宮崎駿的であり、モンスターが人間世界に侵入するのは「どこでもドア」として日本人なら誰でも知っているもの。しかし『モンスターズ・インク』は、『アトランティス』のような眠い剽窃ではなく、見事なまでにエンターテインメントとして成立しており、ここに他国の文化の成果を圧倒的に巨大な胃袋で吸収するアメリカの底力を私は目の当たりにしたのでした。

 そんなことはどうでもよくて、恐怖を幼児に与えるプロ中のプロ・モンスターが、自己存在を見失って身もだえする姿に、私は圧倒的な感動に包まれ涙したのでした。バチグンのオススメ。脚本・演出・キャスティング・演技、どれをとっても一級品。MOVIX京都で上映中。

☆☆☆★★(☆= 20 点・★= 5 点)

 お前のレビューは、ほめているのかけなしているのか、面白かったのか面白くなかったのか、さっぱりわからん、とのお言葉をいただいておりますので、今後、僭越ながら点数をつけさせていただきます。鑑賞の目安にどうぞ。

BABA Original: 2002-May-07;

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