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 Movie Review 2002・3月12日(TUE.)

地獄の黙示録
 特別完全版

公式サイト: http://www.apocalypse.jp/

 とっくに上映が終わってしまった…と思ったら、京極東宝でアンコール(穴埋め)上映されてますので遅ればせながらレビュー。

 1979 年版は、公開当時たいそうな話題になり、京都では、スカラ座と東宝公楽 2 館で拡大上映、私も 35mm 版と 70mm 版ではエンドクレジットが違うってことで両方見たものでございます。思えばアホでした。それはともかく前半『ワルキューレの騎行』ヘリコプター攻撃シーンに猛烈に興奮したり、虎にビックリしたり。

 もともと 2 時間 33 分と決して短くないのですが、今回シーンを付け加えてなんと 3 時間 23 分。見るのにますます気合が要る作品になっております。

 フランシス・コッポラ監督が申すには「時代が映画に追いついたんだ」そうですが、『タイタニック』(3 時間 9 分)が超特大ヒットを飛ばし、長時間映画も上映されやすくなっているんでしょうね。

 さてコッポラ監督、かつて「短く仕上げなきゃ」との強迫観念に囚われうっかり重要なシーンをカットしてしまったのが忍びなかったようです。コッポラがいかにテンパっていたか? 撮影がいかに、撮っても撮っても終わりが見えない“デス・マーチ”と化していたか? …は、奥さん(エレノア・コッポラ)がまとめたドキュメンタリー『ハート・オブ・ダークネス コッポラの黙示録(1991)を見ていただくとして。これを見ると「ホンマによう完成させはったなあ」「コッポラ、可哀想過ぎ!」と、同情の涙と爆笑を禁じ得ないのですが、約 20 年たってコッポラも冷静に編集できる心の余裕が出来たのでしょう。

 かつて『ゴッドファーザー』『同 PART II』『カンバセーション…盗聴…』と、バチグンの傑作を連発していた“フランシス・フォード・コッポラ”と、ボンクラホラー『ジーパーズ・クリーパーズ』をプロデュースしている“フランシス・コッポラ”ってまるで別人!? って感じなんですけど、名編集者ウォルター・マーチとともに再編集された『特別完全版』は、まさしくかつての名匠のワザを彷彿とさせます。

 大きな 3 つのシークエンスがドカッと追加されても、前より短く感じるほどの面白さ、細かいエピソードも追加され、キャラもピンと立って、テンポ快調、もし、当初構想通りに完成していたら途轍もない大傑作になっていたこと間違いなし。ところがそうは問屋が卸さなかった。いや映画作りって何があるかわかりませんね。桑原桑原。

 CIA 所属ウイラード大尉(マーティン・シーン)は秘密指令を受け、ボートでベトナム河上り、カンボジアにまで潜入します。暗殺のターゲット:カーツ大佐の経歴資料を読み込むうちに「暗殺せにゃならんけど、コイツ、凄いかも!? オッサンいかしてる!」とカーツ大佐に心酔していきます。ところが苦労の末に出会った“カーツ大佐”はなんと百貫デブ(マーロン・ブランド)だった! カーツ大佐に「理想の戦士」像を見出していたウイラードは「このデブ! ワケわからんことブツブツ呟いてんじゃねぇ!」と牛切り包丁(何)で滅多切りにしちゃう、というお話。

 映画秘宝(Vol. 26)の「サルでもわかる『地獄の黙示録』」によると、ラストに「戦士の中の戦士」カーツ大佐とウイラードがタッグを組んで、ベトコンと戦う一大戦闘シーンが構想されていたのですが、フィリピンロケ地に現れたマーロン・ブランドがモノ凄く太っててどうしようもなく、現在のような結末になったそうです。

 もし、マーロン・ブランドがシェイプアップしていたら…。そんなことより予定されていたスティーヴ・マックィーンが主役をはっていたら…(ガンのため出演できず)。それどころか、ハーヴェイ・カイテルがクビにならなかったら…。この『地獄の黙示録』は、とりあえず完成してはいますが、黒澤明『トラ! トラ! トラ!』同様の、まさしく「失われた映画」なのであった。

 と、どうでもいい結論になってしまいましたので、機を改めて「『地獄の黙示録 特別完全版』レビュー」特別完全版を書きたい、と思う所存。もういいですか? 失礼しました。それはともかくバチグンのオススメです。

BABA Original: 2002-Mar-12;

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