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 Movie Review 2002・1月13日(SUN.)

バンディッツ

「刑務所でバンドを組んだ女性 4 人が、脱獄して CD デビュー!」という 98 年ドイツ映画“(b)andits”とは何の関係もなく、もしシネコンで『バンディッツ』(独)と、この『バンディッツ』が同時上映されたれば我々はいかにチケットを購入すべきか大いに頭を悩ませるところだがそんなことはどうでもよくブルース・ウィリス、アンジェリーナ・ジョリーの旦那ことビリー・ボブ・ソーントンの中年男優 2 人がスマートな手口で銀行強盗をくり返しつつ『エリザベス』『耳に残るは君の歌声』とは丸で異なる印象のケイト・ブランシェットとイチャイチャする『明日に向かって撃て!』みたいな「2 人の男と 1 人の女」シチュエーションは既成のモラルに挑戦した 70 年代アメリカン・ニューシネマであればそれなりの感慨も湧こうというものだが、アメリカ映画においてフリーセックス概念はすでにどうでもいいこと、むしろシュワルツネガー主演作が常に主張するように「家庭・家族が大事なんだよ」こそラジカルなのであって、この 21 世紀において彼ら犯罪者+情婦のフザケ具合はまったく微温的に感じられ、キミら、ええ歳こいてプラプラしてるんじゃないよ、とまったくのむかつく映画、それでもケイト・ブランシェットが登場するまで粗暴なブルース・ウィリスとインテリ、ビリー・ボブのコンビはなかなかに面白く、ベテラン:『レインマン』『スリーパーズ』のバリー・レヴィンソンの演出もなかなかにクール(しかし所詮『ウワサの真相/ワグ・ザ・ドッグ』のバリー・レヴィンソン)、ところが『木靴の樹』『聖なる酔っ払いの伝説』のダンテ・スピノッティの撮影は「ヨーロッパ作家が捉えたアメリカ」の雰囲気漂わせて良しとするか、これでケイト・ブランシェットが登場しなければなかなかの傑作になったのになあ、いや、ブランシェットは良いんですけど、ダメなのはアメリカ映画が罹っている病、それは愛ですよ愛、ラヴよラヴ、すぐにラヴロマンスを絡めてしまうその方法論を見直したまえ、と私は独りごちつつ前半だけオススメ。

BABA Original: 2002-Jan-13;

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