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 Movie Review 2002・2月22日(FRI.)

ジーパーズ・
 クリーパーズ

 公式サイトも“www.coppola-presents.com”、最大の売りが「フランシス・コッポラ製作」というのもなんだかなー、って感じ、「コッポラなんぼのもんづら」と思わぬでもないですけど、前半:ホラー/後半: B 級テイスト炸裂で大笑い、しかも上映時間 90 分と短めなのでオススメです。ってか、やはり映画は 90 分くらいが良いですね。

 んで「暗黒の都市伝説」「23 年に一度、23 日間、人々は消える」とか、いかにも爆笑巨編らしい宣伝文句で、また、都市伝説モノかいな、アメリカ人って好きなのね、ええ加減にせえや、と呆れ返りましたが、実際はそれほど都市伝説っぽくなくてやれやれです。って何?

 アメリカ南部のド田舎、一本道をクルマで帰省中の姉弟。ふと遠方の教会の廃屋を見やれば変な格好のオヤジが死体様の荷物を穴ポコにポイポイ投げ捨てているではありませんか! よせばいいのに「まだ生きてたら助けられる!」と妙なヒューマニズムを発揮した弟とその姉が巻き込まれた恐怖体験…というお話。

 まず、何を目撃したとしても、やはりここは見て見ぬフリをしておくのが現代人の知恵。さもなくば、警察なり FBI なりに通報して「これで市民の義務は果たしたさ!」と余計なことに関わらないのがクレヴァーというもの。しかるにこのバカ弟は、ノコノコと穴ポコに近づき、まあ、エライ目に会うわけでして、「好奇心は猫をも殺す」というか、「阿呆はとっとと家に帰っておとなしくしてなさいってこった」というか、「キミらホラー映画を見て一体何を学んでいるのだ?」と問いたい、問いつめたい。そんなこと言うたら映画にならんやんか、とおっしゃいますか。では出来上がった映画がなんぼのもんでしょうか? というくらいで、もうちょっと主人公が賢くないと、というか、作り手が賢くないと。

 このバカ弟の正義感は、「世界の憲兵」を自認し、東に人権侵害する国あれば、恐がらなくてもいいと言いつつボコボコ爆弾を落とし、西にテロ容疑者をかくまう国があればつまらないからヤメロと言いつつ軍隊を派遣する、アメリカ合衆国の正義の押し売り的メンタリティと通底しており、そのような正義の押し売りは罰せられねばならない、との教訓をこの映画は述べているのである。適当。

 で、ホラーとか期待するとなんか思わせぶりな描写の連続なだけで面白くもなんともないのですが、後半、変なオヤジモンスターが大活躍し出すと途端に映像もカッコよくなって、オヤジ、ゴーゴー! と思わず声援を送ったりしました。ってか、なんか変な映画でございます。監督・脚本は、ほぼ新人のヴィクター・サルヴァ。ちょっと『デビルマン』とか『デロリンマン』の雰囲気があって、マンガ好きのオタクと見た。ポスターとかのメインヴィジュアルも『富江(菅野美穂版)っぽいし。オススメ。

BABA Original: 2002-Feb-22;

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