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Movie Review 10月28日(SUN.)

ワイルド・
 スピード

ピッチ・ブラック』でも好演のヴィン・ディーゼル待望の主演作です…って誰それ? って感じですか? 『アイアン・ジャイアント』では声の出演、と言っても、ふんがーふんがー言ってただけですが、いや、何となく好きなんです。

 それはともかく、週末になると京都・河原町は大音量でユーロビート(何故?)を鳴り響かせる改造車(通称:ヤン車)がブイブイやかましくて仕方がないのですが、事情はロサンジェルスも同じ、それどころか時速 300 キロ近くでぶっ飛ばすというから困ったものです。そういうカーキチ(笑ひ)どものクソ迷惑な暴走を描きつつ、トラック強奪犯罪が絡みつつ、ロマンスあり、男の友情ありの度はずれた青春カーアクション犯罪巨編です。

 興味深いのは、主人公は白人なんですけど、暴走行為に明け暮れているのがメキシコ系やアフリカ系アメリカンで流れる音楽はヒップホップ、一方彼らと敵対するのは金持ち中国系と、出演陣のほとんどがマイノリティなんですね。日本人は登場しないのですが、使われている車はパンフによるとトヨタ・スープラ、マツダ RX-7 、日産マキシマ、スカイライン、240SX 、三菱エクリプス、ホンダ S2000 、シビック、インテグラ(全然わかってませんが)など全て日本車! 改造に使われるパーツもすべて日本からのお取り寄せ! 強奪されるトラックの積み荷もパイオニア! これは一体…?

 すなわち、貧乏マイノリティは強盗で稼いだ金でせっせと優秀な日本製品を買っており、そこへ忽然と白人が現れて、「これこれ、悪事をはたらいて日本製品ばっかり買ってる場合じゃないでしょ。それより一緒に中国人を懲らしめましょうよ」という図式。なんなんでしょうね。驚くべきコトに、この『ワイルド・スピード』全米オープニング 3 日間興収で『A. I』を抜いて全米 No. 1 大ヒットを記録したとかで、アメリカの映画観客事情は一体どうなっているのか? と私は呆然と途方に暮れたのでした。どうでもいいけど。

 脚本は『トレーニング デイ』も担当したジョン・エイヤー。こちらはエイヤっとばかりのやっつけ仕事のようです。監督は『ドラゴン/ブルース・リー物語』のロブ・コーエン。映画中ヴィン・ディーゼル家で見ているテレヴィは『ドラゴン』だったりします。ははは。どうでもいいことでした。

 CG も使って暴走シーンは大迫力、と言いたいところですが、サイクルスポーツに目覚めた私にとってカーアクションとは、最早アドレナリン噴出の対象足り得ないのでした。私は、暴走にあたら若さを浪費するマイノリティたちに「騒音と排気ガスをまき散らして楽しいのか? 君らロードレーサーに乗ってみろ! 1 万ドルもあったらフェラーリの超高級自転車が買えちゃうぜ!」と問いたい。問い詰めたい。小 1 時間問い詰めたい。

 ともかくヴィン・ディーゼル、または『ガール・ファイト』のミシェル・ロドリゲス好きの方にはオススメ。

BABA Original: 2001-Jan-28;

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