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Movie Review 11月4日(SUN.)

グリッター
 きらめきの向こうに

 缶コーヒーの CM で明石家さんまと共演も果たして人気絶頂のマライア・キャリー初本格主演作です。マライヤをモデルにしたと思しきバチグンの歌唱力を持つムチムチのヒロインが、歌唱力バチグンかつムチムチなものですからグイグイと大スターにのし上がっていきます。一方、彼女を発掘し同棲していた才能乏しき人気 DJ ダイス氏は、生活が荒れ、やがて悲劇が…というアラなつかし『スタア誕生』(ジュディ・ガーランド主演)あるいは『スター誕生』(バーブラ・ストライサンド主演)を下敷きにしたお話しです。以下ネタバレ有り。ご注意。

 やはり素晴らしいのはマライヤ・キャリーなんですね。まず、仲間とともにディスコでブイブイいわしていたところを目に留められ黒人歌手のバックヴォーカルにスカウトされるのですが、マライヤは難色を示します。「あんなヘタな歌手のバックで歌える? このマライヤ様が?」と言わんがばかり。イワンのばか。女王の風格漂う演技はただ者ではありません。

 興味深いのはディスコが先端文化の発信地(笑ひ)だった 1983 年に時代が設定されており、『54』みたく当時のディスコの盛り上がりぶりが再現されてたり、とか。それはともかくさて成り上がって小金持ちとなったマライヤは彼氏の DJ ダイス氏にプレゼントを送ります。それが何と YAMAHA DX-7 ! 「うおー! DX-7 やん! 欲しかったんやコレ!」と DJ ダイス氏は大喜び。私も大爆笑。

 女性歌手を売るにはやっぱりエロ。MTV もエロエロでなきゃ! など当時(今も?)のスター製造過程が垣間見れるのも見どころです。か? DJ ダイス氏は、エロ路線をめぐって大手レコード会社と対立します。マライヤ本人は? どういたしまして! どうやら自慢のナイスバディを披露するのにさほど抵抗がない様子。「あんた、何を青臭いこと言うてんの? 売れるんやったらナンボでも露出しまっせー」と表情に書いてある! マライヤ素晴らしいです。

 で、より高みへ到達するにはこんな男といつまでもつきあってられんとマライヤはあっさり DJ ダイス氏に別れを告げ、人気黒人歌手とイチャイチャデュエットしたりして。この変わり身の速さこそスターの必要条件なり、と私はほとほと感服したのでした。もうちょっと悩めよ。

 マライヤはついに夢のマジソン・スクエア・ガーデンでのコンサートを実現しますが、その開幕直前 DJ ダイス氏に悲劇が。元恋人の訃報に接しマライヤ、「ああ、こんな悲しい気分でコンサートなんか絶対無理!」と言うかと思うでしょ? どういたしまして! まったく動じることなく大舞台をこなします。なんか、とっとと死んでくれてホッとした表情が浮かんでますよ。コンサートにおけるマライヤから観客へのメッセージはですね、「私は DJ ダイス夫人です」じゃありませんよ。「みんなも大切な人がいると思うけど、言いたいことは言っといた方がいいわよー」ですって。うーむ。

 ともかく 100 %マライヤ・キャリー! マライヤ最高! 「ふーん、マライヤ・キャリーってこんな顔ですかー」って感じの私ですら面白かったのですから、マライヤ好きはお見逃しなく! マライヤの衣装センスも、何か、もの凄くて呆然と感動しました。オススメ。あ、上映終了してますか。

BABA Original: 2001-Nov-04;

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