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Movie Review 5月31日(THU.)

ジュエルに
 気をつけろ!

『アルマゲドン』のリヴ・タイラーが、出会った男性全てを虜にしてしまう美女を演じるお色気コメディ(謎)です。

 虜になるのは、近頃ボンクラホワイト・トラッシュを演じさせたらバチグンのマット・ディロン、アメリカ随一の鬱陶しいオヤジこと『ビッグ・リボウスキ』のジョン・グッドマンなど。更にマイケル・ダグラスも捨て身のリーゼント頭で出演、と、阿呆な話の割に豪華キャストなのは、マイケル・ダグラスが製作も兼ねているからでしょうか。ダグラス主演の名作『フォーリング・ダウン』へのオマージュ(何)も意味なくあったりして。ホントに意味ないですが。

 ジュエルとは、アメリカ白人男性、ことに貧困層の理想の女性です。挑発的に腰を無意味にクネクネさせて洗車するシーンなど、「ようやるわ…。」と脱力しつつも、それなりにキャリアも積んだリブ・タイラーが、アメリカ伝統のピンナップガールの典型を、堂々たる誇りをもって演じていることに私は猛烈な感動を覚えたのでした。リブ・タイラーは、みなさんご存知のようにエアロスミスのスティーブン・タイラーと PLAYBOY のグラビアモデル、ベベ・ブエルとの間に生まれた娘です。「餅は餅屋」と申しましょうか。違うか。ここで一句。プレイメイトの 母の血は疑いまじ リブ・タイラー。若干字余り。

 ジュエルには内面が全くないように見え、男たちは自らの願望をジュエルに投影し、それぞれの欲望に振り回されて自滅して行きます。なんか『御法度』みたいですね。「ひょっとしたらジュエルが自分を解放してくれるかも?」と、淡い期待を抱いてジタバタする男性諸君に、私は高度資本主義に生きる貧乏人の閉塞感、男の悲しみを見て取り、コメディではありますが、哀れみの涙を禁じ得なかったのでした。つまり、あんまり笑えないってことで。

 ラストも、余りにも残酷であり、後味が悪いことはなはだしく、そういうのが好きなもんですから、なんとも清々しい気持ちで劇場を後にしたのでした。

 アメリカ白人のイケて無さを笑いにするのは、ファレリー兄弟風ですが、アレほどギャグの爆発力はなく、かといってビリー・ワイルダー風の洒落っ気もなく、妙にキャストが豪華なのもどうか? と思いますが、語り口はまあまあ快調、なんかプロデューサー、マイケル・ダグラスのおいしいとこ取りのような気がしますが、リブ・タイラーのアーパーぶりが素晴らしいのでオススメです。

BABA Original: 2001-May-31;

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