京都三条 カフェ・オパール Cafe Opal:Home

Home > Reviews > 01 > 0307
Movie Review 3月7日(WED.)

ベニスで恋して

 大傑作『ふたりの男とひとりの女』の客入りが悪かったため早々にうち切られてその穴埋めで公開された、とおぼしきイタリア映画。ロードショー館でイタリア映画を見るなんてスンゴイ久しぶり。なんと我々はアメリカ映画に支配されていることか。アメリカ映画好きだから嬉しいんですけど。

 そんなことはどうでもよくて、イタリアで大ヒットを記録、イタリアのダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞の主要部門総嘗めらしいイタリア伝統の艶笑喜劇。

 専業主婦ロザルバは家族とローマに観光パック旅行、ところがドライブインにて小用、もたついていたらバスに置き去りにされてしまって心中おだやかでなく、ささやかな反抗。子供も手がかからなくなったしここらで本当の休暇を取る! とベニスへ。ふと入ったレストランのオヤジ=ブルーノ・ガンツのアパートに転がり込んで…。お察しの通りロザルバとガンツのロマンスが展開。しかし物語の主眼は主婦の反乱にあり、この映画がイタリーでウケたということはすなわちイタリーで主婦層の欲求不満が高まっているのだろうなあ、そういえばカソリックの国だからおいそれとは離婚ができないのだったか? など益体もないことを。

 原題は“PANE ET TULIPANI”、「パンとチューリップ」とはレストランのパンと花屋の花ってことなんだが、これはアメリカ労働者のストライキのスローガンだそうで、ロシア革命のスローガンは「パンと平和を」だったかな? つまり、主婦ロザルバの「パンとチューリップを!」求めたストライキなのですね。なるほど。

 美点はストーリーよりも何よりもキャラがビシバシ立っていることで、ロザルバがアルバイトする花屋の頑固オヤジが「わしゃあ、アナーキストじゃ」とのたまったり、イタリア・レストランのオヤジ、ガンツが「お言葉ですが、中華料理が世界一です」と申したり、そこはかとなくイタリー・テイスト(?)が漂うのが素敵よね。

 監督・脚本のシルヴィオ・ソルディーニは日本初登場らしく、主演のリーチャ・マリェッタもよく知らん。『永遠と一日』などのブルーノ・ガンツが不器用なオヤジを好演。映画らしい映画で、安心して見ていられるのがよろしい。すぐ公開終わっちゃいますがオススメ。

BABA Original: 2001-Mar-07;

レビュー目次

Amazon.co.jp アソシエイト