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Movie Review 12月7日(FRI.)

アトランティス
 失われた帝国
〈吹き替え版〉

『ライオン・キング』のディズニーがまたやりました! …って何を? いや剽窃ですよ、剽窃。天下のディズニーを捕まえて剽窃とはこれまた人聞きの悪いことでげすなとおっしゃるか? 詳しくは「ナディアとアトランティス比較」を見ていただいて、と。

『ふしぎの海のナディア』は見てなくとも(私)、誰でも判るのは宮崎駿アニメ『風の谷のナウシカ』『天空の城ラピュタ』の影響がアチコチに見受けられ、そういう元ネタ探しがお楽しみ。か?

 登場する乗り物のメカメカぶりはこれまでディズニーにはかつてなかったモノ、しかし日本のアニメでは皆様とっくにお馴染み。美術設定は日本アニメっぽいのにキャラは相変わらずのディズニー調キャラで違和感はなはだし、なんですわ。そちこちに日本アニメ的なるものとアメリカアニメ的なるものがゴッチャになって、気色の悪いことになっております。

 ところでディズニーアニメといえば、『ムーラン』『ターザン』『ノートルダムの鐘』などそれぞれ楽しく歌って踊るミュージカル、アメリカ映画の伝統がアニメの中に息づいている! と猛烈に感動したものですが、今回は非ミュージカルなんです。非ミュージカルでキャラたちのこのオーヴァーアクトぶりはいかがなものか? メカがリアルにメカメカしているだけに、余計に不自然。そうそう、日本語吹き替え版を見たのですが、日本語で聞くアメリカン・ジョークもまた特筆すべき寒さです。芯まで冷えました。

 そんなことより、伝説の都アトランティスへの冒険物語なんですが、これ即ちコロンブスなど欧州人のアメリカに対する侵略、生き残っていたアトランティス人とはアメリカ先住民族の寓意でしょう。主人公インテリ君は先住民族に共感し、軍人と対決、その侵略を阻みます。つまり帝国主義批判の映画なんですね。アンチグローバリズムか。知らん。しかし、ヌケヌケと日本アニメから文化的収奪を行い、ミッキーを先頭に文化的侵略を行っておきながら、帝国主義批判とは! さすがディズニー! と私は呆然と感動したのでした。

 それにつけても宮崎駿に代表される日本アニメの質の高さよ! と私は日本に生まれたことの誇りに打ち震えつつ、おいおい、病をおしてマイケル・J ・フォックスが「字幕版」で声優をやっているというのにだな、子供さんもおらぬ先行オールナイトで「吹き替え版」上映とは、どないやねん! と怒り心頭に発したのでした。いや、ちゃんと確認しなかった私が悪いのです。

 そうですね、『ポカホンタス』を面白く見られた方にはオススメです。

BABA Original: 2001-Dec-07;

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