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Movie Review 4月15日(SUN.)

ハンニバル

『羊たちの沈黙』は、たいそう面白く見たのですが、今回は駄目でした。監督のリドリー・スコットが駄目なんですね。かつては『デュエリスト』『エイリアン』『ブレード・ランナー』『テルマ & ルイーズ』など、独特の映像センスで映画史に残る傑作を連発したものですが、近頃は『1492 ・コロンブス』『白い嵐』『G. I. ジェーン』『グラディエイター』など、いや、まあ、そこそこ面白いんですけどね、ってな中途半端な作品を乱発、どちらかといえば凡庸な部類に入る産業映画作家として大活躍で、今回も何が面白いのかちっともわからないのでした。ちなみに原作は読んでおりません。

 前作『羊たちの沈黙』ファンの方々にとっては、ハンニバル・レクターの阿呆さ加減が許せないのではないでしょうか。前作『羊たちの沈黙』は、ちょっと変梃な作風のジョナサン・デミ監督が、ビックリするほど頑張りました。聞くところによると、前作でクラリス・スターリング FBI 捜査官を演じたジョディ・フォスターが、「この映画は最高の原作、最高の脚本、最高のアンソニー・ホプキンス、最高の私が揃っているのよ。もしこの映画が駄目な作品になるとしたら、それは監督あなたのせいよ!」と脅したせいか、全編に緊張感をあふれさせ、レクター博士も「常識はずれの危ないヤツ」感が漂ったものです。

 しかし、今回は、ヨーロッパにコンプレックスを抱く阿呆なアメリカ・インテリ、というところ。ことに『タイタス』に続き名シェフぶりを披露するに至っては、料理好きの好々爺にしか見えないんですね。誰やねん、キミ? という感じです。『タイタス』『グリンチ』(声の出演)『M. I. 2』など、サー・アンソニー・ホプキンス、確実に底抜け超大作俳優道を驀進しているようです。

 いかに底が抜けていようが、もしジョディ・フォスターとの名コンビ復活ともなれば、珍品としてそれなりの見所も生まれたのでしょうが、ジュリアン・ムーアでは如何ともしがたいですね。J ・ムーアも頑張っておられるのですが、お気の毒としか言いようがありません。ゲーリー・オールドマンも出演しているらしいのですが、どこに出ているか気が付きませんでした。はははは。

 リドリー・スコットとしては『G. I. ジェーン』の方が 100 倍おもしろかったです。何でんかんでんオススメする私ですが、コレばっかりはオススメしません。でも、みんな見に行ってしまうでしょ? 退屈さに悶絶してください。では。

BABA Original: 2001-Apr-15;

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