京都三条 カフェ・オパール Cafe Opal:Home

Home > Reviews > 00 > 0917
Movie Review 2000・9月17日(SUN.)

U-571

公式サイト: http://www.U571.net/

 監督・オリジナル脚本はジョナサン・モストウ。劇場用長編第一作『ブレーキダウン』は、「隠れた傑作」で、ことに前半がすばらしかった。以下、若干『ブレーキダウン』の紹介。ネタばれあり。

『ブレーキダウン』の主演はカート・ラッセル。次のガソリンスタンドまで数 100 キロ、というアメリカ中西部の砂漠地帯の一本道を妻と移動中、車が故障。携帯電話も圏外で使えない。そこにトラックが通りかかる。カート・ラッセルは買ったばかりの車が心配なので、砂漠の真ん中で待機、奥さんはトラックに乗せてもらって次のスタンドで修理の電話をかけることにする。

 カート・ラッセルは、砂漠の真ん中ですることもないので、よくわからないまま車をいじっていると、あっさりエンジンがかかる。さっそく妻の後を追う。スタンドに到着してみると妻の姿が見あたらない。傍のレストランで聞いても、誰も見かけていないという。

 うーむ、ワケわからんと、とりあえず一本道をとばすと、妻が乗ったはずのトラックを発見、追いついてみると、確かにこのトラック、見覚えのあるトラック野郎。しかし、トラック野郎がいうことには、「あんた誰? 初めて会ったよ。あんたの奥さんなんか乗せてないよ、あんた基地外?」…むむむ。果たして妻はどこへ…? おもしろそうでしょ? 続きはヴィデオで見てね。

 で、肝心の『U-571』である。ナチス・ドイツが最高機密を送るのに使った暗号器「エニグマ」。イギリスは科学者らを総動員して解読に成功、その後の戦争を有利に進めたのだが、その科学者の中にはコンピュータ理論の基礎を築いたアラン・チューリングがいた。…というのは余談。この映画は、米海軍が、「エニグマ」を漂流するドイツ U- ボートから盗み出そうという作戦の顛末を描く。

 とにかく脚本がすばらしい! 「この先、いったいどうなるんやー」と動揺してしまう映画はあまりないのだが、この映画の絶体絶命は、ほんとに絶体絶命って感じで手に汗握るぜ! 「エニグマ」を盗むのはたやすいが、「エニグマ」が連合軍の手に落ちたことを決してドイツにさとられてはならない、ってのがミソですな。

 ドイツ兵に偽装するあたりはアリステア・マクリーン原作の『荒鷲の要塞』であり、潜水艦と巡洋艦との戦いは『眼下の敵』であり、トンチをはたらかせて窮地を脱する、ってパターンは『隠し砦の三悪人』のようでもある。前作『ブレーキダウン』でもヒッチコック風の、アメリカ映画の王道を行く演出を見せていたが、今回も、そこらの CM 、MTV 出身監督どもが思わずゴメンとあやまってしまいそうなオーソドックスな演出だ。しかも CG をほとんど使っていないのも泣ける!

 ハラハラドキドキだけでなくて、いきなり作戦の指揮をとるハメになったマシュー・マコノヒーの成長物語もからむ。戦時の指揮官の心得は、部下の犠牲をいとわず任務遂行をにぎってはなさないってことで、最初は「どうしたらいいかわからん!」と泣き言をたれていたマコナヘイだが、曹長のハーヴェイ・カイテルから「お前、指揮官がどういうもんかわかってるんか?」とすごまれて見る見るエッジがきいた判断をくだすようになるのが愉快。

 ここで描かれている「指揮官の資質」は、「『 U-571 』に見る危機管理戦略」とかのタイトルで「プレジデント」で特集されてもおかしくない感じなので、サラリーマン、経営者の方は必見だ。

 戦争というのは結局、兵隊の命はどうでもいいものなのだ、仲間を犠牲にしても崇高な任務に最後までしがみつく姿はすばらしいぞ! っちゅう結論で、右翼な人も喜ぶ映画だと思うが、戦争とはけっきょくそういうもの。安直なヒューマニズム、道徳観を排したクールな描写はヘナチョコ『プライベート・ライアン』などよりもずっと「戦争」をリアルに感じさせてくれる。近年マレに見るオススメ。

BABA Original: 2000-Sep-17;

レビュー目次

Amazon.co.jp アソシエイト