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Movie Review 2000・3月31日(FRI.)

グリーンマイル

公式サイト: http://www.greenmile.net/

 こ、これは…、つ、つまらん! フランク・ダラボン『ショーシャンクの空に』は監督デビュー作らしからぬ傑作であったと思う。同じ原作(スティーブン・キング)+監督コンビ、同じ刑務所もの、ということで期待も高まろう、というものだ。しかるにスピルバーグが「私は 4 回泣いた!」などと言っているので悪い予感がしたのだが、どうにもタルい。釈然としないものが残る。以下若干ネタばらす。ご注意。

「グリーンマイル」とは、死刑囚を収容する監獄の、電気イスへと向かう通路のこと。子どもを殺したとかで死刑を宣告された大男の黒人がやってくる。監獄を舞台に、偽善的な小市民トム・ハンクスと、彼の同僚の看守ども、死刑囚数人の、心あたたまるヌルいドラマが展開。

 善悪が図式的である。いいヤツはずっといいヤツ、悪いヤツはずっと悪いヤツ。上司の女房は「最高」。こんな単純でいいのか?

 結局、「善良」なヤツらがつるんで、「邪悪」なヤツらをいじめている、というだけの話だ。S ・キングの近作の特徴だと思うのだが、絶対的な「邪悪」さを宿している人物が登場する。しかし、この映画の「邪悪さ」の判断は、一方的な見方に基づくものに過ぎぬ。コネをカサに着て死刑囚に冷たくあたる看守の行いも、実はやむにやまれぬものかも知れんぞ。ネズミを憎んでいるのは昔赤ん坊をかじられて殺されたとか、ついスポンジを濡らすのを忘れたのはフランスかぶれなヤツが生理的に好かんかった、とか。「善良」な看守どもにノケモノにされてストレスをためていた、ってのはあり得る話だ。

 また、白人死刑囚の監獄での悪行も、死刑を間近に控えた人間の行動としては許される範囲だろう。彼が過去に行ったとされる犯罪も、その容疑で捜査が行われたのではなく、神がかりな黒人が「オレには見えたんだ」って言ってるだけでしょうが。きっちり再捜査しなくていいのか。

 さて、ここでこの映画の隠れた意図が見えてくる。近年「死刑」を扱う映画が続いている。単純化のそしりは免れぬが、死刑反対の『デッドマン・ウォーキング』、死刑は必要かも知れないけども冤罪で死刑にしちゃう可能性があるから、一応反対の『トゥルー・クライム』など。『グリーンマイル』の立場はどうか? この世にはどうしようもなく邪悪なヤツらがいるので死刑! 冤罪でも本人が死にたいって言ってるから死刑! …と、死刑制度を積極的に肯定する立場だ。正当な裁判の手続きを取れないならリンチもどきで死刑! 「お告げ」に基づいてるだけでも死刑! …てなもんだ。

 実は、この物語は、徘徊癖がある、めちゃくちゃ長生きしていると信じ込んでいる老人の回想形式を取っている。よって物の見方が一方的なのもわからんではないが、誰かが突っ込まないとダメでしょう。

「人間は皆、自分のグリーンマイルを歩いている。それぞれの歩調で…。人生のグリーンマイルは余りにも長い」

 …って、年寄りの話は長いと相場が決まっているが、映画も長すぎるっちゅうねん! なんで 3 時間? 退屈で死人が出ないか心配だ。

 …とボロカスチョンに書いてしまったが、ひとつだけ爆笑シーンあり。電気イスの電流を切るとき、トム・ハンクスが“KILL IT!”と叫ぶのだが(きっと)、「切れ!」に聞こえる。字幕も「切れ!」(by 戸田奈津子)。はっはっは。あーおかしい。

BABA Original: 2000-Mar-31;

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