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Movie Review 2000・3月27日(MON.)

ノイズ

 そもそも、ジョニー・デップが金髪の宇宙飛行士というオール・アメリカン・ヒーローを演じる、という時点で違和感炸裂なのだが、なんか、宇宙での船外活動で事故に遭った後、急に NASA をやめてみたり、新しく就職した会社の歓迎パーティ会場で急にエッチを求めたり、と、変な行動が目立つようになる。

 妻が考えるには、どうも旦那は宇宙人に精神を乗っ取られたに違いない、私が急に妊娠したのは宇宙人が地球侵略するためなんだわ、ラジオから変な音が聞こえるけど、宇宙人が旦那に指令を送っているに違いない、ああ、どうしましょと妄想をつのらせる。「電波系」ってヤツですわ。で、危機感をつのらせた嫁さんは旦那を感電死させ、子どもは可愛いのでさっさと再婚してスクスクと育てましたとさ…という目眩がするほど素敵なお話。

 原題は“The Astronaut's Wife”――「宇宙飛行士の妻」ということで、設定を現代的(?)な「宇宙人による人類乗っ取り」に変えているが、“Rosemary's Baby”すなわち『ローズマリーの赤ちゃん』のパクリである。「宇宙人にどうこうされた人」がそう身近にいない日本ではピンと来ないが、聞くところによるとアメリカではそういう人が何千人(何万人?)もいるとか。こういう「妄想」を抱くことが全然荒唐無稽でなかったりするのであろう。B 級 SF として見るととんでもなくつまらないが、異常な妄想に捕らわれた妻の物語として見ると、結構泣ける話である。…な、わけないか。

 それはともかく、シャリーズ・セロンが妄想をふくらませていくのを真剣に演じれば演じるほど抱腹絶倒。監督も結構マジで、しょうもない、どうでもいいサスペンスを盛り上げたりして、これまた笑わせる。ジョニー・デップは、きっと自分で監督する映画の資金稼ぎのためだけに出演。やる気のなさは素振りも見せず、いい仕事しているのがまた微笑ましい。ガッポリ稼いで『ブレイブ』のような素敵な映画をまた撮ってほしいものだ。

 話がトンチキなのだが、美術、撮影が結構いい仕事しているのも、泣かせますな。とりあえずオススメ(誰に?)

BABA Original: 2000-Mar-27;

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