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Movie Review 2000・3月17日(FRI.)

ブエナ・ビスタ
 ・ソシアル・クラブ

 ヴィム・ヴェンダースの新作だ。今回は、ハマった。まんまとハマった。いつもなら歯の浮くようなパンフレットの褒め言葉の数々が、今回に限って「まったくそのとうり!」と頷いてしまう。これが、ハマっていると言わなくてなんと言えるのか?

 たとえば、「この旅のフィナーレを飾るコンサートの幕が上がる。『チャン・チャン』の大合唱が超満員のホールにこだまし、拍手が鳴り止まない。その至福の時は、スクリーンを見つめる観客に、このまま映画が終わらぬことを祈らせる。」とパンフにあったが、まさに映画を観ている時、私もそう思ってしまっていたのだ。

 バラードを歌うオマーラの瞳から涙がこぼれ、イブライムが優しくそっと涙をぬぐうシーンは、一生私の心に残るであろう名場面のひとつに加えられた。

 思わずもらい泣き…にはちと早すぎると、堪えていたが、終盤のニューヨークのおのぼりさん二人組のショーウィンドウの会話に、とうとうたまらず涙が溢れ出てしまった。もちろん悲しくて泣いたのではない事は映画を観た貴方には分かるはず。

 涙でスクリーンが曇りながら、私は「うん。うん。」とうなずいていた。アメリカの約 35 年にわたる経済制裁の重さも、日々の生活苦もすべて受け入れ、さらに「そんなことオイラにゃカンケーねーやな」と一笑しているように思えるじじい達が愛おしくてたまらなかった。

 幸せってなんだろうとあらためて考えさせられる映画でした(ちょっとハズかしいセリフ)。私も、あんなとぼけたジジイを目指します。ビバ! クーバ!

おもしろかおのすけ Original: 2000-Mar-17;

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