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Movie Review 2000・3月4日(SAT.)

うずまき

公式サイト: http://www.uzumaki.to/

 さて、『富江 Replay 』をガマンした後なので『うずまき』はなかなか楽しく見ることができた。何と言っても伊藤潤二のマンガが持つ「マジボケ」の雰囲気があってよろしい。ストーリーとしての起承転結よりも、マンガが持つヴィジョンをいかに再現するかに重点が置かれ、まあ、最後なんか尻切れトンボ感が漂うのだが、いくつか「うはははは」と笑っちゃうシーンもあって、なかなか頑張ったぢゃないか。

 大林宣彦風の、海岸沿いの田舎町の雰囲気が良いし、高橋恵子、大杉漣などの芸達者も出演、さらに佐伯日菜子も登場、笑かしてくれます。

 しかし、監督はムージック・クリップを撮ってた Higuchinsky という素敵な名前の人で、MTV 野郎がやりがちな「凝った」エフェクトが散見されるのが鼻につくし、どうもフィルムで撮影したのではなさそうな画面の粗さも許しがたかったりするのですが。最初ッからヴィデオをターゲットにしている作りってのは、ねえ。

 で、ボクなんかは伊藤潤二のマンガを読むと、ああ、これがこのまんま映画化されたら、どんなにか素敵だろうねえ、と勝手に想像して陶然としてしまうのだが、世の映像クリエイターたちはどうして原作に忠実に映画化しようとしないのだろうか。この映画も、画面づくりは忠実なれど、起承転結のある短編連作の原作を適当にまとめちゃってて、話としてはつまらなくなっているわけです。ハイ。マンガという素晴らしい絵コンテ通りに、原作のうちの三話くらいをそのまんま映画にすれば、『富江 Replay 』にしても『うずまき』にしても、もっとマシな映画になったと思うのだ。原作にトコトン忠実に作られた伊藤潤二原作の映画をボクは見たいぞ。黒澤明が「迷ったら原作に立ち返る。するとそこにちゃんと答えがある」みたいなことを、どこかに書いていたと思うが、そういうこと。

BABA Original: 2000-Mar-04;

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