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Movie Review 2000・6月16日(FRI.)

グラディエーター

 リドリー・スコット最新作は、なんとなんと、ローマの剣闘士ものだ。『クレオパトラ』の例でもわかるように、とかく製作費が膨れがちな題材であるが、コンピュータグラフィックス技術の進歩で、かつてよりは小さなリスクで製作可能になったのだろう。製作費 108 億円のビッグ・バジェットではあるが、CG 技術の進歩がなかりせばエライことになっていたはず。実際、コロシアムなど、西暦 180 年前後ローマの都市の光景が CG で、驚くべきスケール感をもって再現されているのが見物である。

 ローマ帝国軍の将軍ラッセル・クロウが、皇帝の跡目争いに巻き込まれ、妻子をブチ殺され、奴隷になって、剣闘士として闘わされるが、勝ちまくってついにローマ入り。この恨み晴らさでおくべきか、メラメラメラと復讐に命をかける、というようなお話。

 オリヴァー・ストーンの『エニイ・ギブン・サンデー』は、『ベン・ハー』などを引きつつ、現代のスポーツってのは、剣闘士の戦いみたいなもんだ、ってことを描いていたのだが、こちらは剣闘士の戦いを、現代の見せ物と化したスポーツを想起させるように描いている。何にしてもアメリカのスポーツ産業の妙な成長ぶりに対する批判がこめられていて、ちょっとおもしろい。

 て、ことで『プライベート・ライアン』さながらの、暴力的に「リアル」な戦闘描写が見どころなのだろう。しかし、MTV 風の、観客の目を眩ます早い編集にはすっかり食傷気味なので、あたし、退屈しちゃった。剣闘士 VS 戦車(『ベン・ハー』に出てくるみたいな)の戦闘など、武力で劣る剣闘士チームが、ラッセル・クロウのトンチで、いかに勝利を収めるか、が見どころになるべきなんだけど、何が何やらわからんうちに勝っちゃった、て感じで盛り上がらないことはなはだしい。

『インサイダー』とはまた違った雰囲気のラッセル・クロウ主演。ついに超大作出演のホアキン・フェニックスの皇帝が気色悪く好演。リチャード・ハリスもすっかりジジイになって出演してるぞ。この映画が遺作となったオリヴァー・リード(『ドクター・モローの島』など)も、良い。ま、所詮、ドリームワークス製作、ってことで普通にオススメ。

BABA Original: 2000-Jun-16;

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