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Movie Review 2000・1月22日(SAT.)

DEAD OR ALIVE 犯罪者

 日本映画の(ある種の)到達点を示す傑作。三池崇史(みいけたかし)監督作品は V シネマ系は見ておらず、『中国の鳥人』、『アンドロメディア』、『ブルースハープ』はとりあえず見てきたが、意欲に技術が追いついていない感じがあってイマイチ。しかしこの作品で遂に突き抜けた。『サラリーマン金太郎』も素晴らしかったけれど、話がアホ過ぎるからなあ。

『蛇の道』、『ナイル』などの哀川翔と、『ミナミの帝王』=萬田銀次郎こと竹内力の二大スターの夢の共演だ。え、どこが「夢の」か全然わからんて? そういう人は見ない方がいいぞ。さらにワキを固めるのが大杉漣、寺島進、ダンカン、石橋蓮司、本田博太郎、鶴見辰吾、田口トモロヲなどなど超豪華。メチャクチャ見たくなってきたでしょ? え、全然? そういう人も見ない方がいいんぢゃないかな。最高の配役を得て「こういう映画が撮りたかったんぢゃい!」と三池崇史がついに野放し。好き放題やらせたプロデューサーはえらいし、ついていった役者もえらい。ついてこれないヤツはほっとく!

 二大スター夢の共演、一方は犯罪グループのリーダー、他方は追う刑事…と言えばデ・ニーロ+パチーノ共演の名作『ヒート』を元ネタにした雰囲気あり。『ヒート』の場合は二人とも主演扱い、どっちもビッグ・スターで手を抜けないってんで 3 時間近い長尺になり、まあ、それが『ヒート』のいいところなんだけど、せちがらい世の中、なかなか 3 時間の映画は劇場がかけてくれません。『D・O・A』の場合も哀川翔、竹内力ともに主演扱いであり、それぞれに家族や兄弟とのしがらみもあり、ヘタするとメチャクチャ長い映画になってしまうところだが、哀川翔+竹内力のカウントとともに映画が始まるや否やアクセル全開、普通の 1 時間くらいの内容を最初の 5 分くらいでブッとばす。ワケわかんないんだけど、最高! ここで振り落とされる観客もいるはず。冒頭の暴走が終了した後も、さながらダイジェスト版のごとく細かいことは言いっこなしで、ガンガンとばす。

 そして驚愕のラスト…って最近、こんなんばっかりですね。はは。さては三池崇史は天の邪鬼。普通に終わっておけば、フランスなんかでもウケる可能性大だと思うんだが、そうしなかったのがエライ(かな?)。ラーメンとかトキとか、犬とかウンコとか、そいでから極めつけのラストとか、世の中をなめきった感じがあって痛快。

 北野武って最近ヌルくなってる気がするなあ、なんかモノ足りないなあ、って人には超オススメ。

BABA Original: 2000-Jan-22;

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