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Movie Review 2000・1月20日(THU.)

200本のたばこ

 1981 年の大晦日、ニュー・イヤー・パーティに向かう数人の男女のアレヤコレヤを描く。監督のリサ・ブラモン・ガルシアは長年キャスティング・ディレクターを務めたとかで、その人脈を発揮したのかベン・アフレック(『アルマゲドン』)、コートニー・ラブ(『ラリー・フリント』)、クリスティーナ・リッチ(『バッファロー '66』)、ジャニーヌ・ギャロファロ(『ロミーとミッシェルの場合』)などなど、売り出し中の俳優大挙出演だ。

 大晦日一晩の物語であり、『ウェディング・シンガー』、『54』、『ブギー・ナイツ』などの 80 年代リヴァイヴァルの流れにのっかっており、役者もそれなりに揃っておりと、どう転んでも素敵な映画になりそうなんだが、これが壊滅的につまらん。VOW WOW WOW の『I Want Candy』に乗ってクレジットがテンポよく飛び跳ねるオープニングが、いきなりショボい。

 とにかく大晦日の夜に彼氏/彼女がいないなんて来年の男運/女運が決まっちゃうみたいなもんだ、ってことで彼氏/彼女を求めてフラフラ街を徘徊するヤツらに共感できない。「ねえねえ、あなたの青春時代にもこういう時期があったでしょ、ほらほら、彼/彼女達の気持ちがわかるでしょ」という描き方だが、お前らアホか、ってなもんだ。1981 年に時代を設定したなら、「なぜ若い男女がステディをガムシャラに求めるのか?」に対して一定の見解を持ち、何らかの教訓を提示すべきであろう。単なる娯楽映画だから、そんな難しいこと抜きにしたら? という方もおられようが、「娯楽映画」だからこそ作者の主張・教訓が不可欠なのだ。

 こういう「彼氏/彼女がいないと肩身が狭い」症候群は、昨今の日本のクリスマス前後の世間の雰囲気に通じるものだ。こんなもん高価なプレゼントを買わせようとするデパート業界、無理して高い部屋に泊まらせようとするホテル業界、なけなしの金をはたいてバカ高いディナーを注文させようとする飲食業界らサービス業界連合軍の戦略にマンマとはめられているに過ぎないのだ。は〜ん、そんなんアンタがモテないからヒガんでるだけぢゃん! という方もおられようが、うるさいっちゅうねん。ぼけ。

 こういう複数の男女の群像ドラマには、流れに抵抗するヒネクレ者を必ずや配すべきなのだ。『ロミーとミッシェルの場合』でそういう立場を演じたジャニーヌ・ギャロファロを得ながら、なぜそうせぬ。とにかく監督・脚本ともに救いがたいボンクラぶりである。気の効いたセリフも一切なしだ。

 で、よくよく振り返れば、『バーシティ・ブルース』というトンチキな映画を作った MTV プロダクション製作、ガーデン・シネマでの上映ということで、つまんない臭いはプンプンしていたのであった。

 役者もこんな映画に出てしまってお気の毒、という他ない。エルヴィス・コステロがまたもやちょびっとだけ出演しているが、そやからなんやねん。『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』の方が 1. 3 倍くらいマシ。

BABA Original: 2000-Jan-20;

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