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Movie Review 2000・2月29日(TUE.)

13 ウォリアーズ

 原作は『ジュラシック・パーク』などのマイケル・クライトン。監督は、『ダイ・ハード』 1 ・3 作、のジョン・マクティアナン、さらに音楽は大御所ジェリー・ゴールドスミス、主演は『デスペラード』のアントニオ・バンデラス。なんでも製作費 130 億円、と、ワクワクの超大作で、なんで弥生座 2 での上映? ってことだが、見ればわかる。

 唐突ですが、コンピュータの世界では、泥沼にハマリこんで、やってもやっても終わらない、いつまでたっても完成しないソフトウェアの開発を称して「デス・マーチ」――死の行進――と呼ぶそうです。これは映画の世界でも、製作費がドンドンふくらみ、むりむり完成させた映画はちっともおもしろくない、一体どこに金を使ったのかわかんないってのがたまにある。『ウォーターワールド』などがそうだ。テリー・ギリアムのインタビュー本でも、『バロン』がそういう「デス・マーチ」と化す過程が描かれていて(『バロン』はおもしろいけど)、映画の製作費ってのはいとも簡単に、何もしなくてもドンドン膨張しちゃうことがよくわかる。卑近な例では某カフェの改装工事もデス・マーチと化していたようだ。

 『13 ウォリアーズ』もデス・マーチ映画のひとつであろう。大々的に 130 億円って宣伝してるのは、「こんな映画に 130 億円も浪費しちゃいました!」と言っているのと同じ。あ、ちなみにプロデューサーは、クライトンとマクティアナン。「たまには浪費でもしてみるか‥」ってとこか。

 話は約 1000 年前。バンデラスはアラブの宮廷詩人。ボーッとしている間に北ヨーロッパに左遷され、ボーッとしてたら魔物退治に行かされるはめに…。で、13 人の戦士が村を守るためにボーッと闘う。「魔物」と言っても CG のモンスターではなく、おっさんが熊の毛皮を着ているだけなので、期待しないように。

『七人の侍』にインスパイアされておる。村の攻防戦は『七人の侍』まんま。いくつか酷似したショットもあり、J ・マクティアナンもクロサワ・フリークで、「『七人の侍』のアクションを現代のテクノロジーとオレ様のテクニックで再現してみよう」ってところか。『七人の侍』に比べりゃ、「どうしようもない作品」ってことになるだろうが、実はこれ、マクティアナンが挑んだ「模写」みたいなもの。マクティアナンの「古典」に学ぶ意気や良し。

 しかしながら、眠い。13 人の戦士っつったて、バンデラス以外はほとんど見分けがつかないヤツらで、キャラクターがハッキリしないぞ。まあ、そんなモノ求めても上映時間を長くしちゃうだけなので良しとするが、肝心のアクションシーンが壊滅的だ。「リアリズムを追及」とかで、夜のシーンの光源は松明だけ、とか、暗くて何がどうなっているのか全然わからん。美しいのだけど、アクションは状況をわかりやすく見せないとダメだぜ。

 弥生座 2 の看板では「マイケル・クライトン」が「マイケル・クライン」になっているのが見どころ。どうでもいいことでした。

BABA Original: 2000-Feb-29;

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