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Movie Review 2000・12月22日(FRI.)

オーロラの彼方に

 タイム・トラベルというと『バック・トゥー・ザ・フューチャー』が有名なところで、生身の人間が過去あるいは未来へと時空を超える、というのは話としてはおもしろいが科学的/現実的ではない、のだけれど例えば「電波」なら如何だろうか?

 1999 年、父親の形見のハム無線のスウィッチを何十年ぶりかで入れたところ、聞こえてきたのは…なんと 30 年前に死んだはずの父親の声だった! なんかニューヨークではオーロラが異常発生、そのせいかどうか知らないけど父と息子が 30 年の時をへだてて会話をかわす、ってバカも休み休み言いなさい、って感じで、息子が過去の人間にアレコレ話すことによって家族の歴史が歪みだして、タイム・パラドックスってヤツですか?

 ちょっと考えれば矛盾だらけでトホホなのだが、どうしてコレがなかなかおもしろいじゃないですか。チョビッと『カラー・オブ・ハート』みたいな、「おお、なかなかよく練られた脚本ではないか」感が漂っている。

 息子は、彼女に逃げられ家族を喪失してしまった刑事で、「家族」を再構成しようとする欲望が時空を歪めてしまった、と言えるだろう。「あるべき家族」を求めて過去にコミットし続ける。現代アメリカでいかに家族が失われていて、いかに求められているかを反映した作品だろう。なんちゃって。

 父親が消防士、息子が刑事、おまけに母親は看護婦、と、それぞれ労働者階級の中でもキツい仕事についているのがミソで、一見、題名とか、ぬるぬるのハートフル・ストーリーを予想させるが、『め組の大吾』風の火事場のヒロイズムあり、シリアル・キラー話もあり、と、展開の妙こそがこの映画の命であるので、詳しいストーリーは触れず。

 監督はグレゴリー・ホブリット。うーむ、良く知らん。なんでも TV 『ヒル・ストリート・ブルース』『L.A. ロー』とかを手がけたそうで。映画は…、あッ! 『悪魔を哀れむ歌』なんちゅう脱力感満点の映画を撮ってますね。エドワード・ノートン主演の『真実の行方』もこの人か。まあ、今回は脚本が良かったのですね。そう、圧倒的におもしろい脚本があれば、監督が凡庸でもなんとかなるもんです。よくわかりませんが。いちスジ、にタカ、さんナスビ、ってヤツですか。ワケわかんないこと書いてすいません。

『シン・レッド・ライン』の主演のお兄ちゃん、ジム・カヴィーゼルが息子、『第 5 惑星』とかのデニス・クエイドが父親を演じる。とにかく、細かいことに目をつぶれば滅法おもろい話なので、あるが、やっぱり色々気になるので「んな、アホな!」とツッコミながら見るのにオススメだ。

BABA Original: 2000-Dec-22;

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