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Movie Review 2000・12月2日(SAT.)

新・仁義なき戦い。

 そもそも深作欣二の『仁義なき戦い』シリーズは日本映画史どころか世界を見渡してもこんなにおもろい映画群はそう見あたらないのだ。それと比べてどうこう言うのは愚の骨頂。タイトルはどうでもよろしい。新旧男優を大挙集めての群像ドラマってだけでなかなかおもしろそうじゃござんせんか。

 しかし不安要素が少しくあって、実は、ワタクシ、阪本順治監督がちょっと苦手。『どついたるねん』『愚か者』『顔』はまあまあおもろく見たけど、その他がダメだったんです。痛い。『王手』『トカレフ』は見てなかったりする。さて、今回はいかがなものか。

 面白かったかも。少年時代、美しき友情、仲良く人殺しをした少年二人が、片や広域暴力団の下部組織の組長、片やヤクザ嫌いの焼き肉屋の親父しかしてその実態はクラブ経営などもするコリアン実業家に成長、広域暴力団の跡目争いでゴチャゴチャしている間に二人が再会し、どうこう、というお話。

 と、いってもストーリーはどうでもよくて、というか、なんだかよくわからなかったりして。と、いうのも京都弥生座は音響設備が悪いことで有名かも? という映画館でして、しかもヤクザ映画、わめかれるとですね、「ぼざんない! ぼざぐらでしゃ!」って感じで、何をおっしゃっているのか全然わかんないのだ。わめき声はもちろん、素のセリフすら聞き取りにくいことはなはだし。

 多数の人物が入り乱れる群像劇で、これはどうか? って結局、深作版『仁義なき戦い』と比べちゃうんだけど、深作版も人物関係がややこしいが、適宜「○○組組長だれそれ」と字幕が出るのがありがたいな。ってか、前作で死んだはずの人が何度も出てくるので、いちいち字幕でレッテルを貼らなきゃならなかったんだと思います。それはともかく、今回、ダークな画面づくりにきばっておられるので、いちいち字幕で説明したんじゃムウドを損ねることはなはだしいと思わぬでもないが、まあ、いいや。そんなことはどうでもいい。

 面白かったのは、京都三条大橋のたもと、とか裏寺町通りのお好み焼き屋「こはる」の更に南の寿司屋、とか見なれた風景を映画で見るのは楽しいものでございますね。じゃなくて、とにかく布袋寅泰の顔がメチャクチャ恐い! 凶悪。『サムライ・フィクション』の布袋さんも良かったが、今回もいい。とにかく岸部一徳、哀川翔(以下略)…といった濃ゆい顔の男優陣が大挙出演、オープニングでヤクザの人たちがハイヤーからぞろりと降りて、そこにチャララーっと布袋さん編曲による『仁義なき戦い』のテーマが流れたときには、これは傑作かも! と錯覚してしまったほど、阪本順治が苦手なボクにも、なかなか面白かった、ってところです。さて。

 オパール的に話題沸騰の大地義行さんは、岸部一徳の弟役で出演。妙な存在感あり。これといった見せ場がないのがもったいない。

 主要な俳優の多くは映画の中で死んじゃうのだが、まったく同じキャストで続編希望。それでこそ『仁義なき戦い』。そのためにもオススメ。しかし弥生座。

BABA Original: 2000-Dec-02;

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