京都三条 カフェ・オパール Cafe Opal：Home

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イタリアでは公共の場所において携帯電話で通話したとしても何のマナー違反にもなりません。バスの中。電車の中。カフェ（こちらではBAR）の中。携帯電話で話をしている人はごまんといます。

もちろん私も最初は驚きました。日本では、電車に乗りながら携帯電話で通話をするのはイケナイこととされており、そんなことをしようものなら、周りから白い目で見られるからです。挙げ句の果ては 「通話はお辞め下さい」 なんて注意されかねません。他方、こちらイタリアでは、電車の中で 「チャオ、ママ、いまから帰るからね！」 といった連絡を筆頭に、多種多様な通話があちらこちらで繰り広げられます。通話の内容は周囲にまる聞こえですが、別にだれも気にしていません。

一旦こういう状態に慣れてしまいますと、公共の場所で携帯電話で話している人がいたとしても、これは全く何のストレスにもなりません。そこで次のような疑問が自然と浮かんできます。公共の乗り物において携帯電話で通話をするのはなぜマナー違反になるのか、なぜ他の人に迷惑をかけるのか、と。

これに対する私の答えはこうです。 「心臓ペースメーカーを移植している人などは除いて、公共の場所で携帯電話を使って話すことは、周囲の人に全く何の迷惑ももたらさない。マナー違反であるという概念が植え付けられていることによる錯覚にすぎない」

もはや大多数の人が携帯電話での通話を否としている＝マナー違反ということになってしまっているという既成事実が存在している以上は、その観念を覆すのはたやすいことではないでしょうし、他の人の気持ちを害するようなことは避ける必要があります。でもいい加減、日本の人々は別に携帯電話で話をしたとしても、その動作自体が迷惑ではないということに気づくべきではないでしょうか。

社会なるものは、構成している人たちが互いにマナーを守り合うことで秩序を保つのでしょうが、こういう 「でっち上げられたマナー」 というものは如何なものか。了見を狭くする方向以外に作用するのであろうか。

で、このような「でっち上げ」について考えていると、以前より気になっていた一つの事を思い出しました。それは飛行機に乗ったときの機長からのアナウンス、「Enjoy your flight!（飛行をお楽しみ下さい！）」 です。なぜ、延々と着席しつつ受動的に空中を移動することがENJOYにつながるのか。飛行機とか空の上が好きな人はそんなことを言われる前からenjoyするでしょうが、取り立ててそうでない人には、ENJOYする理由はどこにも見あたりません。

何人かの人にアンケートした結果、私は、「Enjoy your flight!」 は、「墜落しないように頑張ります。たぶん安全だと思うので、過度に心配しないでネ！」 というメッセージを婉曲的に伝えるものであるという結論に至りました。間違いありません。飛行機による旅行自体は全然、enjoyableなものでも何でもないのです。だって考えてもみて下さい。あの日本が世界に誇るスーパーな乗り物、SHINKANSENで、「では、超特急によるご旅行をお楽しみ下さい」 なんて野暮ったいアナウンスが無いんですよ？

…いかがであろうか。このように我々は 「でっち上げられたマナー、でっち上げられた楽しみ」 に囲まれているのである。この裏の仕組みを見抜くことにより、人は真の自由を獲得できるのだ、たる凄まじい勢いでＫＫちゃんに 「enjoy your flight！」 ってアナウンスされたらどう思う？ と尋ねてみましたら、「Si!（←イタリア語のYES） もちろん楽しんじゃう！ って思うよ！ 飛行機って楽しいやん！」 と返事されました。

自分は人生で何かを得損なっているような気がしつつ、ああ、故郷の京都まであと４日やー！