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 Diary 1999・10月21日(THU.)

クンドゥン

 朝日シネマにスコセッシの「クンドゥン」を観にいく。ダライラマ 14 世の誕生からインドへの亡命までを描いた映画だ。2 時間以上もある長い映画だったが、退屈することなく最後まで一気に観れた。が、ひとつ疑問が残った。ジャン・ジャック・アノーの「セブンイヤーズ・イン・チベット」という映画で描かれていたオーストリア人の登山家ハラーが、全く姿をみせなかったのだけれど何故だろうか?

「セブンイヤーズ・イン・チベット」という映画は実をいうと観ていないのだけれど、粗筋は知っている。オーストリア人の登山家ハラーがチベットで幼少のダライラマ 14 世の家庭教師のような役割をしながら 7 年間を過ごす、といったものだ。そしてこの映画はハラーの実際の手記に基づいて製作されている。もちろんハラーの手記の内容がどこまで信用できるかは疑問だけれども、実際彼がダライラマ 14 世とともに過ごしたのは事実らしい。ではなんでこの「クンドゥン」にハラーがでてこないのか。「クンドゥン」のほうはダライラマ 14 世の手記に基づいているらしいので、ダライラマ 14 世がハラーの存在を抹殺したのか? それともスコセッシが抹殺したのか? 

「クンドゥン」にしても「セブンイヤーズ・イン・チベット」にしても、大きな意味での政治的プロパガンダの映画ということが出来るだろう。チベットは常にアメリカの反中国・反共の持駒のひとつだからだ。チベットの人々がいかに酷い目にあってきたか、中国・共産主義がいかに悪辣かを、世界に向けてアピールするのだ。

 ハラーという人はどうやらナチスの情報将校だったらしく、そこらへんも何か関係するのだろうか? 分からない。誰かそこらへんをズバっと説明できる人がいたら是非教えて下さい。

 家に帰ってトモコも出ているこの間の能の大会のビデオを観る。このビデオは毎回強制的に買わされるのだけれど、構図はおかしいわ、音のバランスはむちゃくちゃだわ、人は前を通るわ、何より画面がぼやけている! というひどいシロモノで、それを市販のビデオに落としただけでなんと 1 万 2 千円!! まったく腐り切った商売だ。今どきどんな素人だってこれの 10 倍はましなものを撮れるだろうし、それを 1 本千円くらいで売ったっていいと言うだろう。能にせよ、華道や茶道にせよ、家元制度自体が腐っているのであって、その腐ったところには腐った商売が寄生する。こういうのが一番腹がたつんだよねえ。

 プンプン怒りながらビデオを消すと、BS でなんと「モンティパイソン」をやっていたので思わず観てしまった。う〜ん最高! ビジュアル的にも凄くイケている。これでやっと幸せな気分で眠れそうだ。お休みなさい。

小川顕太郎 Original:2000-Oct-23;