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 Diary 1999・11月2日(TUE.)

「僕が愛したモッズシーン」とは

「僕が愛したモッズシーン」とは何か。このいささか恥ずかしい名前は、実はイベントの名前、モッズ集会の名前なんですねえ。毎年ベイサイドジェニーでモッズメーデーを主催しているイズミくん達が、秋にも何かモッズのイベントを、とベイサイドジェニー側に請われて、行うものだ。このイベントに、キタアキくん・イワブチくんが「ノーザンヴォイス!!」として参加してノーザンソウルをまわすという。さらに何故かイズミくんまでノーザンをまわすというのだから、これは行かずにおれまい。もともとこのベイサイドジェニーでのモッズメーデーをたちあげ・定着させたのはキタアキくんであり、今は主催から退いているとはいうものの、現主催のイズミくんはキタアキくんのユースなので、その影響力は密かに大きいとみた。それにベイサイドジェニーのような大きな場所でノーザンを踊りたいしね。で、私とトモコとネコの 3 人で行ってまいりました。

 まず悩んだのが服装だ。昔、まだ難波のロケッツでモッズメーデーが行われていた頃は、私もスーツで行った。しかしスーツではあの激しいノーザンダンスは踊れない。キタアキくんはバギーのスーツをオーダーしたという。ではやはり私もバギーパンツですか。それに襟の大きなシャツと胴の長いバギーパンツ用のベストをあわせて、シックなノーザンスタイルできめてみました。いざベイサイドジェニーへ。

 会場に一歩足を踏み入れると、そこにキタアキくんとマイちゃんが居た。ところがキタアキくんはジーンズ姿だ。あれれ、バギースーツは?「いやあ、暑くて脱いでしまいました。最近堪え性がなくなってきて、年々ダメになっていく自分を感じます」むうう、そうなのか。でもキタアキくんはまだ 24 歳なのでした。

 しかし今回のイベントの印象を一言でいうと、モッズシーンが後退している、というものだ。大体まともなモッズがほとんどいない。ヤンキーみたいなのばっかり。細いスーツを着ればモッズというわけではない。モッズとはまずクールでなければならない。とはいうもののモッズに憧れるのは若者なので、実際はクールな奴なんてそうそういない。しかし私が顔を出していた頃は、みなクールであろうとはしていたように思う。少なくともダンスはクールにきめようと頑張っていた。まともなステップひとつ踏めず、ビールをそこらにまき散らしながら暴れ回るなんてモッドとはいえないと私は思う。ではモッズはどこへ行ってしまったのか。もしかして皆ノーザンにながれているのではないか。今回改めて痛感したのだけれど、今のモッズの子達のダンスの下手さに較べて、ノーザンの子達のダンスの上手さは際だっている。ノーザンソウルがかかってアクロバットな技をきめまくるのが圧倒的なのは当然としても、R & B がかかるモッズタイムにおいてもノーザンの子達のほうがずっとダンスがうまい。それに、ダンスに対する真剣さが出ているのか、無意味におおはしゃぎせず、ストイックな感じさえ与える。内に熱いものを秘めながらも表面上は静かで、やるときは圧倒的な技を駆使してバッチリきめる。これこそモッドが本来もとめていたクールネスではないか。やはりこれから時代はノーザンなのか?

 今回は特別ゲストとして、東京モッズシーンの元フェイス、「THE HAIR」の元ボーカリストで、スカパラにも一時期参加していた杉村ルイがやってきていた。しかしこれも痛かった。イズミくんのバンド「Leads」に、ハープで参加した時は格好良かったが、あとで一人でギターかかえて歌われたのにはまいった。日本語で歌われたのは多分自作曲だろうが、これがくだらない。カバー曲もボブ・マーリーが 2 曲に「ジョニートゥーバッド」などのスカ・レゲエが中心で、まあいいんだけど、なんだかなあという選曲。黒人音楽好きがおちいっていく最悪のパターンにはまっていっているように思えた。ブルースとかレゲエとかの日本的展開にひかれていくという。う〜ん、ファッション的にはいけてるんだからもっと頑張ってほしい。それにもっとフロアでガンガン踊れよ、杉村ルイ。モッズシーンの衰退を象徴するような夜でした。

 それにしてもああいう広いところでノーザンで踊るのは気持ちいい。私の問題は体力がなくてすぐへばってしまうとこだな。よし、次の「ノーザンヴォイス!!」12 月 4 日にむけて体力増強だ!

小川顕太郎 Original:2000-Nov-4;