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 Diary 1999・12月27日(MON.)

キネ旬映紅運動

 神戸に出かけ、細々とした用事をいくらか済ます。その後、ズッカ神戸店に併設されたカフェ、「ドラゴンフライ・カフェ」に行く。

 ここはズッカのデザイナーである小野塚秋良がプロデュースしたカフェで、雑誌「シュプール」の 1 月号で紹介されていたのを見て興味を持ち、行ってみたのだ。なぜ興味を持ったのかというと、まず服のデザイナーというカフェに関しては素人が作った店だという事、それから「シュプール」に店が出来るまでの様子が色々と書かれていた事。つまり単なる素人でカフェを作ってしまった私としては、自らの体験に重ね合わせてなにかと興味を惹かれたのだ。

「シュプール」で述べられている話によると、小野塚秋良が目指したのは、原宿のセントラルアパートに昔あった「レオン」という喫茶店のようにモデルやカメラマンの集う、そこから何かが生まれるような店、気が利くウエイトレスがいて客を待たせず味がよく価格は適正、サッと食べたり長居をしたりと目的にあった過ごし方の出来る店、らしい。で、実際の店はどうだったのか。

 1 階と 2 階では価格設定が違い、1 階は安いがその分コーヒーは紙コップに入ってでてくる。そして椅子はスツール。2 階は行かなかったので分からないが、もっとリラックスできる椅子だろう。つまり目的に応じた使い分けが出来る、と。店内は広々とし、天井も吹き抜けで気持ちがよい。なんといってもロケーションがいい。さすが神戸だ。厨房も広くてメチャ羨ましい。そしてコーヒーの味は…? 残念ながら口に合わなかった。

 しかしそれはまあ良い。が、正直に言わせてもらうと、全体的な雰囲気は「スノッブ」といったところ。理由を考えてみると、まず第一に、「何かが生まれるような店」というコンセプトもさることながら、「気が利くウエイトレスがいて客を待たせず味がよく価格は適正、サッと食べたり長居をしたりと目的にあった過ごし方の出来る店」というコンセプトを、お金をかけて実現している点だろう。こういうコンセプトって、ある意味すごく現代的=ファーストフード的なんだよねえ。マクドナルドがやっているマックカフェとかも、使い分けはともかく「気が利くウエイトレスがいて客を待たせず味がよく価格は適正」を目指している訳でしょう。スターバックスとか。もちろんそれが悪いといっているわけじゃなく、それはそれでいいと思うが、わざわざ「素人」が作るんなら、他のものを目指せばいいのになあと思ってしまうわけです。なぜファーストフード的なものを目指すのか?

 あともう一つ言うと、これも「シュプール」に書いてあったんだけれど、小野塚秋良は、カフェをショップと同時に、つまり 11 時に開けるというスタッフに対して、雷を落としたそうだ。カフェはもっと早くから開いているもんだ! と言って。しかしこれはどうかと思う。だってあなたがそこで働く訳じゃないんでしょう? もちろん小野塚秋良にはデザイナーとしての仕事があり、それを朝早くからやっているのかもしれないけれど、こういった関係だとどうしたってお店とスタッフの間に溝ができる。そしてその溝を埋めるのはお金だ。キチンと給料を払うからオーナーの言うとおりちゃんと働いて下さい、という訳だ。まあ、それが近代的な経営方法なんだけどね。なんか偉そうな事をうだうだ書いてしまいました。

 古本屋の店頭に「キネ旬」の古い号が出ていたので、何冊か購入する。パラパラめくっていると、70 年ごろに「キネ旬」では「キネ旬映紅運動」というのを展開していたのが分かる。これは正確には「キネ旬映画紅衛兵運動」といい、映画館のサービスが悪かったり、フィルムの状態が悪かったりすれば、観客の立場からこれを誌上で告発しよう! という運動だ。ただし告発者は自分の氏名や年齢・職業・住所などを明かにし、発言に責任を持つ、と。面白い! なんかオパール的ではないか、ってそんな事ない? 「紅衛兵運動」という所が泣かせるけどね。

 キタアキくんと会って、夕飯を一緒に食べる。キタアキくんは 31 日にオパールにノーザンソウルをまわしにきてくれるのだが、その打ち合わせをする。って、実は 31 日のことなんかまだ何にも決めていなくて、打ち合わせもへったくれもないんだけれど。しかしキタアキくんには悪いことをした。だって彼はオパールのために他のカウントダウンイベントを全て断ったんだぜ! オパールのはイベントではなく、単なる秘密カフェ営業なのに。ギャラも出ないし。すまんことです、でも嬉しい。はっきり言ってめちゃめちゃプレミアムだと思いますよ、年末のオパールは、いやホント。別にダンスパーティーではないけれど、ノーザンソウルがかかれば踊り狂います。イエイ! 楽しみだぜ。

小川顕太郎 Original:2000-Dec-29;