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2016年10月14日(Fri)

ハドソン川の奇跡/ザ・ビートルズ etc

10月3日~10月13日

ハドソン川の奇跡

MOVIX京都にて『ハドソン川の奇跡』を鑑賞。2009年1月15日、ニューヨークを飛び立ったばかりの飛行機(USエアウェイズ1549便)が鳥の群れと衝突、左右の両エンジンが停止してしまったがために、もとの空港に戻らうかとしたが、それはムリと判断した機長(サリ-)が、そのままハドソン川に不時着。乗員155名全ては無事であった・・・といふ実話の実写化。
正直言って、題材的にあまり惹かれる所はなかったのだけれど、まぁ、イーストウッド監督作だし、大丈夫か・・・と思って臨んだら、やはり大丈夫でした。さすがイーストウッド。信頼できるわー。

イーストウッド監督作史上最も短い作品(96分)、といふ事もありますが、ほんとますます力が抜けて飄々としてゐる、といふ印象。シンプルで大胆な演出がイーストウッドの特徴だと思ふのですが、今回のは大胆といふより、むしろ無邪気といふか・・・いや、トム・ハンクス(サリー役)がマラソンの途中で戦闘機を見かけて、それをきっかけに自分の戦闘機乗り時代の回想に移る、とか、テレビを観てゐる途中に回想に移行する、とか、はっきり言って「ださー」と感じる演出が随所にあったのですが、それでも面白さにはちっとも影響せず。相変はらず凄く面白い。なんでだろ、と、少し考へてみました。

やっぱそれはイーストウッドの問題意識がクリティックだからだ、と私なんかは思ふんですね。前作の『アメリカンスナイパー』とか『ミリオンダラーベイビー』とか、イーストウッドの作品はよくアメリカを二分する様な論争に発展する事があります。それは彼の問題意識がクリティックで、みなが反応せずにはをれないからだと思ふのです。
今作の主人公のモデルになったサリー機長は、実際にアメリカでは英雄らしいです。確かに彼のやった事は凄いし、アメリカで英雄になるのは分かります。が、それに対してイーストウッドがこの映画でやった事は、サリーは本当に英雄なのか?といふ問ひかけです。そして、そんなもんじゃないよ、とイーストウッドは答へてゐるのです。といっても、サリーを否定してゐる訳ではありません。英雄の真実を暴く!などといふスキャンダリズムとも無縁。イーストウッドの言ってゐるのは、サリ-は英雄などといふ我々から隔絶した存在なのではなく、ひとりの立派な職業人だ、といふ事です。そして、立派に自分の職務を成し遂げる人はみんなサリ-と同じなんだ、といふ事です。
ここで描かれるのは、自分の職務を誇りと責任を持ってやり遂げる人間の姿です。変に盛り上げる事もなく、淡々と職務を遂行する様が描かれる。そして、組織と個人が対立した時、その個人が自らの職務を遂行してゐたのなら、それは絶対に個人が正しい。個人を支持すべきだ、といふのが、イーストウッドのリバタリとしての考へ。この視点にブレがないから、常にイーストウッドの作品は面白いんだよなぁ。
途中、サリーがビルに追突する飛行機を幻視するシーンがあるのですが、あそこ、イーストウッドっぽくて好き。凄くリアルに描いてゐる。そして、ラストのあっさり感もとても気持ちよかったです。
実をいふと私、トム・ハンクスが苦手なんですね。特に顔とか。故に、この映画を観た人がみんな、今回のトムはイーストウッドそっくりだった!とか言ふのに納得いかず。さうかなぁ?全然違ふよ!

ザ・ビートルズ

TOHOシネマ梅田にて『ザ・ビートルズ~EIGHT DAYS A WEEK』を鑑賞。『レット・イット・ビー』以来46年ぶりの公式ドキュメンタリーといふ事らしく、監督はロン・ハワード。ビートルズがツアーをしてゐた頃の事を、その時に世界で起こってゐた事柄と絡めて描いた作品。年齢層の高い観客の人々に囲まれての鑑賞となりました。(とかいって、我々も十分歳喰ってますが)

私は子供の頃、中学生くらゐまではビートルズのファンでした。故に、ここに描かれてゐる様な事は大体知ってゐるし、映像的にも既視感溢れるものが多かったのも事実。が、ビートルマニアと言はれる様な熱心なファンではなかったので、どの映像が初出の珍しいものなのか、といふ事までは分からない、といった感じです。
そんな私が、「おお!」と思ったのは、アメリカ南部ゲイターポールでのコンサートの話。この頃のアメリカ南部では、まだ人種隔離政策が行はれてゐて、白人と有色人種が同じ場所に行ったり、同じものを使ったりできない状態でした。当然、コンサートも白人と有色人種の席は別。席のみならず、トイレも売店も全て別といふ状態。これを知ったビートルズの面々は、人種隔離なんてナンセンスだ!そんな事をするならコンサートはやらない!と突っぱねたといふのです。会場側との間にたって頭を抱へるブライアン・エプスタインの写真が挟まります。で、結果としてビートルズは自分たちの主張を通し、会場に人種隔離をやめさせた。これが最初の事例となって、以後、徐々に人種隔離を行ふ会場はなくなっていった・・・との事なのです!知らんかったー。
ここで紹介されるのは、4人がグループとして意思表示をする時は、常に全員の同意を得てからにしてゐた、といふ事実。誰かひとりがリーダーシップをとって決めるのではなく、不賛成のメンバーを押さへこんで決めるのでもなく、4人全員の同意を得てから決める。だから意思表示が強固だったし、何かあっても全員が全員を守る形になってゐた。ここでも、人種隔離反対は4人全員の意志であった、と。
そこでもうひとつ、かの有名なジョンの「キリスト発言」のエピソード。これはジョンが、さるイギリスの雑誌のインタビューで、「いまやボクたちはキリストより人気がある」と答へたのが、アメリカの雑誌に転載され、原理主義的キリスト教徒の多いアメリカで社会問題化。大規模なビートルズボイコット運動に発展した、といふものです。この渦中にアメリカツアーを行はなければならなくなったビートルズの面々は、アメリカで釈明会見を行ひます。この時の映像は有名で、私もジョンが釈明するシーンは今までに何度も観てきてゐました。が、今回はちょっと長い映像。そして、むしろジョンよりポールの方がアグレッシブに発言して、ジョンを擁護する様が映ってゐるのです!
これを観て、ああ、彼らはこの時、ほんとに仲が良かったんだなー、とちょっとグッときました。後年、泥沼の解散劇を演じたため、どうしても仲の悪いイメージが潜在してしまふ彼ら(特にジョンとポール)ですが、この頃は本当に仲が良く、団結してゐた。むろん、初期の頃の仲睦まじげな彼らの様子は、イメージとして定着してゐますが、それは対外的なものではなく、本当に彼らは仲が良かった。陽気でやんちゃで機知に溢れ、自己憐憫がなく、どんなにハードな状況でも4人でふざけながら乗り切っていく・・・そんな彼らは、ほんとに、美しい!と、しみじみと思ったのでした。
この上映には、おまけとしてシェイスタジアムでの彼らのライブ映像がついてきます。4Kリマスタリング、との事で、それなんぼのもん?と思ってゐたら、愕然とするくらゐキレイな映像。音もいい。肘で鍵盤を弾くジョンにしびれまくりましたー。

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