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2016年05月26日(Thu)

縄文遺跡/CAFE REGENBOGEN etc

5月17日~5月18日

縄文遺跡

5月17日&18日のオパールの休みを利用して、強行軍にて北海道は小樽まで行ってきました。
何故かと云ふに、小樽には元カフェ・オパールのスタッフであるミカンさんのやってゐる「CAFE REGENBOGEN」といふカフェがあるのですが、諸般の事情により、5年間の営業を一旦打ち切る・・・といふ報せが入ってきたので、これはそれまでに一度訪ねなければ!といふ事になったからです。
つー訳で、伊丹空港から新千歳空港までひとっ飛び、そこから電車で小樽までガタゴトと行きまして、17日火曜日の昼過ぎ、私とトモコは小樽駅の改札口で我々を待つミカンさんの真横に立ったのでした。

いつになったら気がつくのだらうか・・・と、私とトモコはミカンさんの横顔をジーっと眺めてゐたのですが、一向に気がつく様子がありません。仕方なく「ミカンさーん」と呼びかけたら、「わ!」と凄く驚かれてしまひました。ちっとも変はってないね、ミカンさん・・・。
実は本日火曜日は「CAFE REGENBOGEN」の定休日なので(オパールと一緒やね)、ミカンさんが一日小樽&余市を案内します!と申し出てくれたのです。どこがいいかなぁ~と、ミカンさんはミカンさんなりに色々と考へてくれてゐたのですが、トモコの要望はひとつ。
「とりあへず縄文遺跡ね」
さう、北海道って、縄文遺跡が多く残ってゐる土地なんですねー。
それで思ひ出すのがマツヤマさんの話。マツヤマさんは幼少期を函館のそばで過ごしたのですが、縄文土器を掘り出して競ふのが、男の子の定番の遊びだった、と言ひます。
「もう、押し入れいっぱいに集めた縄文土器で溢れてゐたよ」
へぇー!で、それらの縄文土器はどうなったんですか?
「母親が全部捨てた」
なるほど・・・。
といふ訳で、ミカンさんにクルマで縄文遺跡巡りに連れていって貰ひました。
我々の行った縄文遺跡は2種類。ひとつは洞窟。もうひとつは環状列石。
洞窟はフゴッペ洞窟と手宮洞窟のふたつで、このふたつにはどちらも陰刻画が刻まれてゐます。国内では岩面陰刻画のある縄文遺跡洞窟はこのふたつだけ、といふ事で大変貴重、とのこと。どちらも保存目的で洞窟そのものが保存館と化してをり、我々は入館してガラス越しに陰刻画を観ることができます。ちなみに入館料はフゴッペ300円で手宮100円。
館内に足を踏み入れると、ひんやりしていい感じ。ガラス越しに岩面の陰刻画を眺めてゐると、どんどん時間が古代へと巻き戻っていく感じがします。そこに流れてくるなんだか聴いた事のある音楽・・・ん?これ、イーノとハロルド・バッドの『THE PLATEAUX OF MIRROR』やん!・・・いや、まぁ、あってないとは言はんが・・・。
環状列石とは、まぁ、一種のストーンサークルで、とは言ってもイギリスのそれの様な巨石文化とは違って、小さなものです。大体子供くらゐの大きさの石を地面に突き立て、その周りに石を並べたもの。我々が廻ったのは3カ所で、西崎山と地鎮山と忍路。
環状列石は古代の祭祀跡なのか、墳墓なのか、といふのが常に論争の的らしいんですが、日本のそれに関しては、どうも墳墓説が優勢っぽい。ここにも墳墓跡があった。一応、国指定の史跡らしいんだけど・・・どうにも放ったらかし感満載。周りを囲った柵とかも壊れてるし、特に地鎮山なんか、草に覆はれて見えなくなった道を、草を掻き分け掻き分け、倒れた木を乗り越へくぐり抜けて、やっと到達する始末。うーん、でもいい感じだ。
石が並んでゐるのは楽しい。自然のままに異様な形の岩が屹立してゐるのもいいですが、明らかに人の手が加はってゐるのもいい。子供が石遊びをしてゐる様な、原初的な楽しさがある。それが縄文人によるものだと思へば尚更です。まぁ、遊びといふか墳墓なんでせうが。
その後、余った時間でミカンさんに余市神社や天狗山なんかに連れて行って貰ひ、夜はミカンさんオススメの寿司屋やBARで歓待して貰って、その日は更けていきました。

160526-01.jpg忍路環状列石。ここは行きやすい。周りは畑。

CAFE REGENBOGEN
ついにやってきました『CAFE REGENBOGEN』。小樽の観光メインストリートである堺町通りの突き当たりにあるメルヘン交差点。そこに鎮座する小樽オルゴール堂本館。の、裏手にあるキンダーリープといふ玩具屋さんの2階に、CAFE REGENBOGENはあります。この堺町通りは典型的なド観光地でして、京都でいへば嵐山みたいな感じ。が、キンダーリープのある場所はそこからすぐなのに、所謂観光地的なガシャガシャした猥雑さとは無縁です。築100年以上(?)の建物を改装した店は、一歩足を踏み入れると外国製の洒落た玩具が溢れ、静謐さと楽しさを併せ持った別世界を作ってゐます。そこの2階にCAFE REGENBOGENは、ある。

「いらっしゃいませ~」

おお、ミカンさん。昨日はどうも。ふ~む、ここがミカンさんの店かぁ、ななんとなくオパールに似てる様な・・・ガン!っと・・・いたたた。

「あ、頭、気をつけて下さい」

なんだかえらく低い所に梁が・・・それも何本も。これは一本、二本よけても、気を抜くと・・・ガン!

「大丈夫ですか・・・」

ここでポー社長降臨。

「社長、いらっしゃいませ。どうですか、私の店は?」

「ま、いいんちゃう」

「社長・・・」

CAFE REGENBOGENはそんなに広くはない店なのですが、古本を扱ってゐたり、ミカンさんが作ったローズウインドウを販売してゐたり、自由に遊べる玩具があり、楽器があり、その他にも様々なグッズやオブジェがゴロゴロとあって、雑然とした中に不思議な統一感がある。それは確かにオパールを彷彿とさせる・・・のですが、それはもしかしてキンダーリープの中にある、といふのも大きいかもしれません。つまり、おもちゃ箱の中の賑やかさ、楽しさ。世俗的な功利からは自由な、純粋な遊戯の精神による統一感、といふか。
我々がミカンさんのハンドドリップによる珈琲を飲んでゐると、そこにCAFE REGENBOGENに古本を委託してゐる古本屋さん『博信堂』さんがやってきました。キンダーリープの店主の方も来られて色々とお話を伺ったのですが、そこには小樽の緩やかな文化的繋がりみたいなものが感じられて、ミカンさんはかういったものに護られて5年間を全うしたんだなぁ、と感じました。その風景を、垣間みられて良かった。

夕方早々にそこを辞して、京都へ。慌ただしい二日間でした。

160526-02.jpgまぁ、いいんちゃう

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