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2016年04月21日(Thu)

影なし作画/らき★すた etc

4月10日~4月18日

影なし作画

雑誌『アニメスタイル』の008号を読みました。この雑誌は、その名前の通りアニメのスタイル・表現面に焦点を当てた作りになってまして、実写映画でも、どっちかといふとストーリーなんかより表現の方に目がいってしまふ私なんかには非常に面白い。で、アニメを観始めてまだ数年な私はまだまだアニメの表現に関して分かってゐない事が多く、この雑誌に教へられる事が多いのです。今回も、メッチャ勉強になりましたー。

“影なし作画”ってのがあるのですよ。これはまぁ、普通はアニメ表現において、キャラクターの立体感を出すために鼻や顎の下に影を入れたりするのですが(その他にも光の当り方で影を入れたりする)、その影を敢て入れずにベタッと平面的な作画をする事です。これによってどういふ効果があるかと言ひますと、デザイン的な美しさが強調されるのです。・・・って言はれても、「はぁ、さうかも」って感じですよね。実際に絵を観てみないと。
この雑誌で特集されてゐる石浜真史(『R.O.D』!)の作画の数々を観ると、なるほど!と納得できます。
有名どころでは細田守がこの“影なし作画”を多用してゐます。 確かに、『時かけ』『サマーウォーズ』あたりはなかなか効果的だった様な気がしますが、最新作の『バケモノの子』は全然ダメでしたよね・・・って、これは個人的感想。つーのも、私の考へる“影なし作画”の効果って、“象徴性が高まる”ってのがあると思ふんです。その点から言へば、『バケモノの子』は全然ダメだった。
それに対して、『バケモノの子』と同年に作られた『心が叫びたがってるんだ。』(通称『ここさけ』)は素晴らしく効果的に“影なし作画”が使はれてゐたと思ひます。でも、『ここさけ』で“影なし作画”って?

『ここさけ』を観た人は分かると思ひますが、この作品は正に“青春の光と影”って感じで、光と影のコントラストが印象的に強烈に使はれてゐます。ぢゃあ、“影なし作画”ぢゃないやん、と思はれるでせうが、それがさうでもない。“全影作画”といふ“影なし作画”の一技法を使ってゐるのです。
この“全影作画”とは、影の中に居る人物には“セルフ影(鼻や顎の下につく影)”をつけず、ベタッと平面的に表現する、といふ技法です。
この作品は、言ひたい事が言へない故に他人とコミュニケーションがとれない女の子が主人公です。また彼女の周りに居る人たちも、それぞれに心の中に鬱屈を抱へてゐます。そんな彼・彼女らが、その時の置かれた状況や心情によって、影の中に佇む場面がとても多い。そして、その時に“全影作画”で描かれた彼・彼女らは、平面的で美しく描かれてゐるが故に、とても象徴性が高まってみえるのです。つまり、この世界には薄くピッタリと貼り付いたもうひとつの世界があって、自分はそちらに属してゐる。光の中に居るみんなと同じ場所に居るはずなのに、自分は違ふ世界に属してゐるが故に、見えない何かでみんなと隔てられてゐる・・・といった感覚が表現されてゐるのです。
これは作品を観て貰へれば分かると思ひますが、見事ですよ!・・・とか言ひながら、私も『アニメスタイル』で“全影作画”といふ技法を教へて貰はなければ、分からなかった。光と影を効果的に使ってゐるなー、とは思ってゐましたが、まさか影の中の人物から影が消されてゐるとは。
これでまたひとつ、アニメの見方が分かりました。やー、楽しいわー。

らき★すた

おはらっきー!!・・・って、別に頭の調子が悪い訳ではないですが、アニメ『らき★すた』全話+OVAを観了いたしましたー。
やー、メチャメチャ楽しかったわー。とりたててストーリーと呼べるものはなく、ひたすら女の子たちがあれやこれやとしてゐるだけの日々が描かれ、ジワーっと至福感がしみ出てくるコメディ、といふ。もう、かういったアニメをずぅーっと観てゐたいわー。こなちゃんグレイト!『もってけ!セーラーふく』最高!

実は私、このアニメはちょっと敬遠気味だったのです。といふのも、絵がねぇ・・・、いや、色んな所で見かける『らき★すた』の絵柄、単純な線で描かれた目の大きな女の子、子供の落書きっぽいといふか、新聞の四コマっぽいといふか・・・とにかくあまり魅力を感じない絵だった訳です。作画が緻密でキレイであると評価の高い京アニの作品にしてはちょっとなぁ・・・とか思ってゐたのです。
ところが!実際に動いてゐる絵を観てみたら・・・いい!メチャメチャいい!とにかく、OPの『もってけ!セーラーふく』で女の子たちが踊ってゐるのを観ただけでガツーン!とやられました。本編に入っても、彼女らの絵の魅力は衰へることなく・・・、こんな単純な線で構成された絵から、なんでここまでの色気が出てゐるのか。作画の堀口悠紀子って天才かも。・・・この堀口悠紀子さんは、『けいおん!』の作画でアニメ界に激震を走らせた人ですが、後の『けいおん!』の革命的な絵に至る萌芽が、この『らき★すた』にはある。あります!
一体なにが、どう、他の絵と違ふのか。誰か教へられる人は教へて下さーい!
てな訳で、アニメの表現方法について色々と考へる日々でした。ばいにー。

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