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2015年12月12日(Sat)

蔵王権現/ハイ★スピード/スペクター etc

12月1日〜12月11日

蔵王権現

近鉄電車に乗って吉野は金峯山寺に行って参りました。金峯山寺は修験道の総本山といはれ、役行者が開祖と伝へられてゐる所です。ここにある秘仏・金剛蔵王大権現の特別御開帳があったので、その御尊顔を拝しに行ったのです。

近鉄吉野駅を降りると、そこにはアニメ「咲ーSakiー 阿知賀編」のポスターが!・・・最近は、どこに行ってもそこの土地を舞台にしたアニメのポスターがあるなぁ、全く憂へるべきことだ・・・と嘆息しながら、何枚も写真を撮りました。
そこから、現存する中では日本最古といはれるロープウェイに乗って山の上へ。このロープウェイは2012年8月に日本機械学会によって「機械遺産」に認定されたさうで・・・確かに、凄く揺れるし、ガタピシ感がハンパないし、外の景色もパッとしないしで、「遺産」感あふれる乗り物でした。なるほど、これによって俗界との区切りをつけるのだな、などとしたり顔で呟いてみたり。

金峯山寺蔵王堂にて、金剛蔵王大権現さまと御対面。全身真っ青で巨大な権現さまが、右手を振り上げて牙を剥き、カッとこちらを睨みつけてゐる。それが三体も。実はこの日、金峯山寺管長による法話、といふのを拝聴したのですが、それによると「半眼のお釈迦さんと違って、権現さまはしっかりと目を見開いてこちらを観て下さってゐます。是非、権現さまとしっかり眼を合はせて、心の中で対話をして下さい」との事だったので、私もしっかり権現さまと眼を合はせました。権現さまは、大きくてもの凄い形相で睨んでゐるのですが、不思議と恐くはない。むしろ可愛い・・・とかいふと怒られるかもしれませんが、心の中での対話では怒っていなかったので、まぁ、いいでせう。むしろ可愛いからこそ、普段は秘仏になってゐるのかも、とか思ったりしました。そんな訳はないのですが。

実はここには様々な修験道グッズが売ってゐるのです。事前の調査によると、「くまぶしくん」といふ熊のぬいぐるみが山伏の格好をした奴がありまして・・・全く今時はどこに行ってもゆるキャラばかりだ、憂へるべき事態だな、と嘆息しながら、ひとつ求めると、「あー、くまぶしくんは今は売り切れ。入荷予定は未定です」と言はれてしまひました。な、なにー、一体なんのためにこんな田舎まで来たと思ってるんやー!・・・あ、秘仏を観に来たんだったか・・・。

お坊さんたちが、我々は山伏です、と言ってゐるのが興味深かったです。

ハイ★スピード!

劇場アニメ「ハイ★スピード!」をMOVIXにて鑑賞しました。テレビアニメ「Free!」の前日譚の映画化です。で、ある程度予想してゐた事なのですが・・・・・・私以外、観客は女の子ばっかり!ううむ、さすがに気恥ずかしいといふか、気圧されるといふか。確かに、美形の男子水泳部員たちの話です。女子向け、なのかもしれません。が、「まどマギ」が美少女アニメであるにも関はらず、多数の女性ファンが居た様に、「Free!」だって男性ファンが多数居ても変ではないはずです。実際、凄くよく出来た作品だし、男女の別なく楽しめるはず、と私は思ふのですが・・・。
誤解を避けるために言っておきますが、この作品はBLではないですよ。そら、BL的な要素はある。鏤められてゐる、ともいへる。しかし、初期の腐女子の方々が「キャプテン翼」に熱狂した様に、少年のスポーツもの、友情ものは、BL的だといへるし、簡単にBL的に読み替へ可能です。これも、少年たちのスポーツものな訳だから、さういった要素があるのは、ある意味当然でせう。
しかし、それでも、やはり少年マンガものに較べると、些かBL方面への踏み込みがあるのでは?と思はれる方も居るでせう。確かに、それはその通りです。しかし、それがこの作品の素晴らしい所だし、それでゐて、いはゆるBLものと一線を劃すことによって、その素晴らしさが際立つと思ふので、以下それについて書いてみようかと思ひます。

熊楠なんかが言ってゐる事ですが、「男道」と「男色」は違ふ。BLが「男色」であるとしたら、この作品は「男色」ではなく「男道」の方です。「男道」とは、性愛的なものを含みながらも、それを遥かに超えた「友愛」に基づくものです。相手のために己を捨てる、信義を守るために全力を尽くし命を懸ける。それは「友愛」と「克己」が一体となってゐるが故に、「倫理・道徳」の元となり、「A感覚」に基づいてゐるが故に「美」の元となります。およそ「男道」なくして、倫理も美もなく、故に立派な男性はありえません。だからこそ、「少年愛」は古来尊ばれてきたのです。それが、近代になって「男道」が廃れ、性愛的な「男色」が迫り上がってきたため、いはゆる「立派な」「男性的な」男性が少なくなってしまった・・・。
とはいへ、完全に「男道」が廃れた訳ではありません。ここ10年ばかりのハリウッドに於ける「ブロマンス」流行は、「男道」復興運動なのではないか?と私は考へてゐたりします。例へば、さういった事に敏感なトム・クルーズは、「M:I」シリーズに於いて、どんどん女性とのロマンスを遠ざけて、仲間との友愛の方に重きを置く様になってゐます。そしてそれが、一般的な共感も呼んでゐる、と。

この「ハイ★スピード!」は、「男道」を描いたといふより、それの萌芽を描いた作品です。主人公たちは中学1年生。まだ何も分かってゐません。少年時の微睡みから抜け出しつつも、新しい環境に慣れず、戸惑ひ、不安定に揺れ動いてゐます。そこから、「男道」の生まれでる芽みたいなものを見つけ出さうとしてゐるのが、この映画だと思ひました。

それを象徴する、印象的なシーンがあります。それは、遥と真琴が夜のプールで二人っきりで泳ぐシーンです。この濃厚にエロティックなシーンで、重要なのは、普段は(水泳)パンツ一丁で泳いでゐる彼らが、この時は服を着たまま泳いでゐること。この事によって、このエロティックなシーンに於いて、性愛的=男色的な要素が抑制され、友愛的=男道的な要素が浮かび上がってくるのです。この象徴的で美しいシーンを観るためだけにでも、私はもう一度劇場に行かうと思ってゐます。

てな訳で、男性諸君も、この映画を観た方がいいですよ。

スペクター

007シリーズ最新作「スペクター」をMOVIXにて観ました。
私は幼少の頃にショーン・コネリー版をテレビで、ロジャー・ムーア版を劇場で何本か観た程度で、ほとんど007関しては無知に等しい人間です。そんな私でも、今回の「スペクター」は、過去作へのオマージュに満ちてるなぁー!と、感嘆する作り。あれはあれ、これはこれ、と、映画の名前は出て来ませんが、デジャブ感満載。ジョーズも出て来るし、Drイーブル(あ、名前違ひますね、分かってます、分かってますって)も出て来る。それを、ちゃんと今にアップデートしてやってるから感心。オープニングの映像とか、砂漠の真ん中に出現する悪の秘密基地とか・・・思はずニヤニヤしてしまひます。
この様に、過去の007作に対するシュミラクル感溢れる作りになってゐるので、些か反動的な所もあります。それはボンドが友愛よりも異性愛を優先する所で、前述した「M:I ローグネイション」とは正反対。ベン・ウィショーをボッチで残して、レア・セドゥーと一緒に走り去るなんて、なんと反動的な!!!
まぁ、この作品はさういった作りだから別にいいけど。よく観たら、ボンドとレア・セドゥーとの愛なんてフェイク感溢れるし、むちゃ嘘っぽい。大体ボンドがスパイを辞める訳ないんだから、すぐにセドゥーと分かれて、颯爽とウィショーの所に戻ってくるでせう。ジェームズ・ボンドウィルリターン!
贅沢でお遊びに満ちた娯楽大作でした。

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