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2015年06月12日(Fri)

神々のたそがれ/夢の道/ジェームス・ブラウン etc

6月2日〜6月11日

神々のたそがれ

アレクセイ・ゲルマン監督の遺作「神々のたそがれ」を、みなみ会館で観ました。いや、私はアレクセイ・ゲルマンといふロシアの監督さんを初めて知った訳ですが、どーも有名な監督さんらしく、この遺作は今年頭あたりから凄く騒がれてゐて、間違ひなく今年最大の話題作の一本である様なので、ずうっと気になってゐたのです。
原作はストルガツキー兄弟の「神様はつらい」。あの「ストーカー」を書いたストルガツキー兄弟です。で、チラチラと流れてくる映像を観てみると、まるでブリューゲルの絵の様なヨーロッパ中世感バリバリな映像。3時間弱といふ長丁場だがこれは観ずにはおれんー、と劇場に駆けつけた次第です。

おおー、なかなかに、凄い。最初から最後まで、ひたすら泥と汚穢、雨と糞尿、無知と野蛮、腐敗と蛮行、倦怠と諦念の中を、うろうろとする話。
実はこの映画、地球人が宇宙に行き、そこで地球とそっくりだが800年ほど遅れてゐる惑星をみつけ、そこに調査のためにその星の住人に化けて潜入する・・・といふ話で、故に主人公である地球人は圧倒的な力と知恵を持ってをり、“神”と崇められてゐる、といふ設定なのです。しかし・・・いくら圧倒的な知力と腕力を持ってゐるからといって、この野蛮で不潔で愚劣な世界がどうなる訳でもない。そら、こいつらを皆殺しにするのは訳ないが、それでは観察にならないし・・・てな訳で、ひたすらニコニコしながら彼らの間を彷徨する。恐れられたり、崇められたり、チョッカイをかけられたり、罠にはめられたり、意地悪をされたり、命を狙われたりしながら。
主人公が、すぐ汚れるくせに、常に真っ白なシャツを着用してるのが印象的。そして、至る所を嗅ぎ回って、臭い!と文句を言ひながら、真っ白なハンカチで鼻を覆ったり、そのハンカチで汚物を拭ってポイポイ捨てたりするのが、その度にドキッとします。それはこの救ひがなく、進歩も向上もない泥濘の世界で、あまりに違和感のある純白の輝きだからでせうか。常にこちらの気持ちを落ち着かせなくさせる。魂の輝き。故に・・・こんな世界にぬる〜く安んじてはならん、魂の光を忘れてはならない、と言はれ続けてゐる様で、私は深く感じ入りながらも、やはりぐったりと疲れて映画を見終はったのでした。

夢の道

私は基本的に、寝て居る時に観る“夢”とは、起きてゐる時に受け取った印象や感情を、脳が整理してゐる時に起こる現象だと思ってゐます。しかし、先日、あまりに生々しく現実感があり、ちょっと恐い夢を観たので忘れない様に書いて置かうかと。
その夢では、私は会社員なのです。現実の私は脱サラしてカフェを始めた訳ですが、その夢の中では結局会社を辞めなかった、といふ設定らしいのです。で、あの時にもし会社を辞めてたらどうなってゐただらう、もうちっとマシな人生を歩んでゐただらうか、でも今の人生もそれなりに満足だし、人は成る様にしか成らない、そんな事を考へるのは無駄な事だな・・・などと考へながら普通に仕事してる夢だったのですが・・・これが妙に生々しくて、目覚めてからも「あれ、今日は会社は・・・」などと考へてゐて、しばらくして“現実”に気がついて愕然としたのでした。
むろん私の夢に関する基本的な考へは考へとして、私がまづ考へたのは、本当に“これ”は現実か?といふもの。バカバカしいですが、今のカフェをやってゐる自分は“夢”であって、現実の自分は会社員なのでは・・・と考へたのです。次に考へたのは、平行世界の存在。この世界とは別に私が会社員をやってゐる世界があり、なにかの拍子でその世界とシンクロしてしまったのでは・・・と。その次に考へたのが、前の二つを混ぜ合はせた様な事で、私は何かのループ世界に閉じ込められてゐるのではないか、といふ事。本当の(?)私はどこか違ふ所で、違ふ形で存在してゐるのですが、このカフェを経営して生活してゐる毎日・・・といふループに捉へられ、それこそ「ハルヒ」のエンドレス8の様に、ある一定の期間をずうっとループしてゐるのではないか・・・と。あの生々しい夢は、そのループに生じた何らかのバグ、といふ事です。このループする期間を一生の規模にまで拡げ、人は何度でも同じ人生をループしてゐる、とすれば、それはウスペンスキーの輪廻論=永劫回帰説になる。うーむ。
私はループから抜け出せるであらうか・・・。

ジェームス・ブラウン

テアトル梅田で「ジェームス・ブラウン 最高の魂(ソウル)を持つ男」を観てきました。これはマツヤマさんが「最初から最後まで鳥肌もの!」と絶賛してゐるもので、確かにライブシーンが素晴らしい!JBを演じるチャドウィック・ボーズマンが入魂の演技で、JBにそっくり!歌と演奏はJBのものを流してゐるので、チャドウィック・ボーズマンの気合ひの入ったダンスとパフォーマンスで正にJB!なステージシーンが釣瓶打ちで、終始ノリノリの映画でした。
ただ、妙に似てゐるだけにそこが気持ち悪い!といふトモコの様な意見もありますし、なかなか難しい所。うーん、ま、私は楽しめたんですけど。
まぁ、でも・・・作品としてはちょっと弱くて、ちょい中途半端な所がある。一応、物語にするために、JBとボビー・バードの男の友情を主軸に置いてゐるのですが・・・これが弱い。それなら、もっとボビー・バードの事をちゃんと描かないと。二人の別れにしても、再会にしても、描き方が弱くて、唐突感は否めない。うーむ。下手なブロマンスはなかった方が良かったのでは。
とはいへ、この様な映画は音楽シーンが良ければ全てオッケーなので、やっぱオッケー。家に帰って、久しぶりにボビー・バードのアルバムなんて引っ張り出しちゃいましたよ。
個人的には、ジル・スコットがJBの奥さんをやってゐるのに受けました。

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