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2014年06月17日(Tue)

6月10日〜6月15日 etc

プロメテア

現代の魔術師アラン・ムーアによる話題騒然のアメコミ「プロメテア」の1巻が邦訳されました。J・H・ウィリアムズ3世(画)・柳下毅一郎(訳)。期待に違はぬ素晴らしい出来。メチャメチャ面白くて、大興奮のうちに読了しましたー!

アラン・ムーアが現代の魔術師と呼ばれるのは、本人がオカルトや西洋魔術に通暁し、実際に魔術を駆使するのもさりながら、やはりその作品が魔術的・魔法的だからでせう。
では魔術的な作品、魔法としての作品とは何か。それは現実を変容させようといふ意志を内包し、実際にそれだけの力を備へた作品の事です。しかし、それなら優れた作品はみんなさうなんぢゃないの?といふ疑問が沸くとは思ふのですが、それは正にその通りでして、優れた藝術作品とは、多かれ少なかれ魔法的でせう。でもそれなら概念規定が曖昧になるので、ここでは“オカルトがベースにある”といふのを付け加へませう。
さういった意味で、「プロメテア」は完璧な魔法の作品です。

ちなみに現代の最高の魔術師の一人としては、私はアレハンドロ・ホドロフスキーをあげたいのですが、彼の新作「リアリティーのダンス」も強力な魔法としての映画でした。これに張れる映画は「劇場版 魔法少女まどかマギカ <新編>叛逆の物語」しかないんぢゃないか?まぁ、カラックスの「ホーリーモーターズ」も仲間にいれてもいいけど。
とにかく「リアリティのダンス」ですが、現実を変容する意志と力に溢れ、そのベースにはオカルトがあります。ホドロフスキーは稀代のタロット研究家であり且つタロットリーダーなので、必然的にこの映画にはタロットの象徴が随所に鏤められてゐる。しかし、タロット・・・それも現在日本で流布してゐるウェイト版ではなく、本来の形に近いマルセイユ版のタロットに詳しくないと、それらの象徴は分かりにくいかもしれません。単にホドロフスキーの考へた奇抜な画面・場面、と思ってしまふかも(むろん、それで全然オッケーな訳ですが。象徴なんですから)。
それをいふなら「まどマギ」の方はもっと難しく、こちらも魔術の象徴が鏤められてゐるのですが、意図的にそれをやってゐるのは、製作陣の中の一人か二人ではないか(しかも他の製作陣に内緒でやってゐるのではないか)といふ疑ひが濃い。だから非常に分かりにくい。しかしまぁ、この作品はその持ってゐる魔法としての力が凄いからねぇ。さういった事が分からなくても、十分楽しめる訳です。

これらの作品に較べると、「プロメテア」は何とも分かりやすい。魔術・魔法の指南書、の趣きさへあります。だからと言って、退屈だったり晦渋だったりする訳では全くなく、もうメチャメチャ面白い!プロメテアの活躍に大興奮です。
プロメテアは昔からずっと想像界に居り、彼女の事を完璧に想像する事ができると、自らに彼女が顕現する。これは優れた藝術作品のメタファーですよね。しかもそのベースには長く豊潤な西洋オカルト哲学があり、この世の全てがそれによって解釈される。我々はこの作品を読む事によってオカルト哲学に基づいた世界観を手に入れ、想像力を働かせる事によってプロメテアを呼び出す事ができる。
これぞ魔法の書!

早く2巻が読みたいです。

(蛇足ながら、この作品の事を「アラン・ムーアの魔法少女もの」と紹介してゐる文章を散見するのですが、それは違ふのでは?だってプロメテアに変身するソフィアは女子大生だし、セックスだってする。それ“少女”ぢゃないやん。みんな魔法少女を何だと思ってゐるんだ。男性がほぼ皆無の世界である「まどマギ」を観直して欲しい)

ロマンザ20周年

私とトモコが京都に来て以来、ずうっとお世話になってゐる美容院「ロマンザ」が20周年を迎へました。そして20周年記念特典として、ミック板谷画伯による素敵なロマンザのマークつき手拭を制作。ただいまロマンザにてカットをすると、もれなく貰へるさうです。

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これは・・・欲しい。でも当分ヘアカットする予定はないし・・・または、他の美容院に通ってるし・・・といふ方に朗報。なんと、オパールにてロマンザ謹製の石鹸をお買ひあげ頂いた方にも、同じものをプレゼントいたします!
数には限りがありますので、お早めに。

今週のアミューズ

映画・・・「グランドブタペストホテル」@TOHOシネマ梅田。素晴らしい。至福の映画。ウェス・アンダーソンは今のりにのってゐますね。レビュー書くつもりなんで、そちらも読んで下さい。

音楽・・・「ハネノネ」。アニメ「灰羽連盟」のサントラ。劇伴の魔術師、大谷幸といふ人がやってゐる様ですが、なかなかにいい。ケルト音楽、中世ヨーロッパ音楽風で、「灰羽連盟」の世界をよく表してゐます。特に後半部は秀逸。アニメを観てない人にも、音楽作品としてオススメできます。ジャケットもいい。

本・・・「神話の力」ジョーゼフ・キャンベル&ビル・モイヤーズ。インタビューなので、ジョーゼフ・キャンベルの考へがよく分かって興味深い。結構踏み込んだこと言ってる。ちなみに、ホドロフスキーが来日時に「100人座禅大会」でやった法話と同じ話が出て来ます。

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